#19
「サツキ知ってる?ボルシチってめっちゃ気持ちイイらしいんだよねぇー」
「何言ってんのオマエ……?」
アホガキが何やら言い出した。
ボルシチ……寒い国の煮込み料理。ビーツで赤くなったスープのこと。
「えー、サツキ、ボルシチのこと知らないの?遅れてるー!今どきボルシチのこと知らないとかなくない?」
「いやボルシチは知ってるけど……気持ちイイってなに?」
「なんかそこイジると深イキ?とかってスッゴイんだって!究極の快楽なんだって!えっ?サツキマジで知らないの?変態ドスケベ大魔神のサツキが?」
「なんやねん変態ドスケベ大魔神って」
「だってそうじゃん」
「まぁ……」
あんまり否定は出来ないけど。
それにしてもボルシチって……気持ちいい?深イキ?何言ってんだコイツ……。
あっ……もしかして……まさか……そういうこと……?
ボルシチじゃなくて……。
あー……はいはい。わかった。わかった。そういうことだな。ネットから変な知識拾ってきたパターンな。
「あー、ボルシチな。ボルシチボルシチ。知ってる知ってる」
「なんだよ。やっぱサツキも知ってんじゃんかよ」
「そうだな。勿論知ってるぞボルシチ。それでカズ。ボルシチがどうしたの?食べたいの?作ってやるか?」
「えっ、マジ?サツキ、ボルシチ作れんの?それめっちゃ気持ちイイんでしょ?それなら作って作って!」
「おう。わかった。それじゃスーパー行って材料買ってくるか」
「ボルシチってスーパーに売ってんの?お手軽じゃん!」
スーパーに行ったがビーツが売っていなかった。普通のスーパーじゃビーツなんて特殊素材は売ってないようである。
仕方ないのでスーパーで材料が揃うミネストローネを作った。赤いし、カズはバカだから、これがボルシチだって言って食べさせればわからんだろう。
「美味しい!……けどコレ別に気持ちよくならなくない?」
「そりゃボルシチだし」
ミネストローネだけど。
特に変な工夫もなく料理サイトを参考に作ったミネストローネだ。別に媚薬とか変なものは入れてないから、気持ちよくなるはずは無い。ただ美味しいだけである。
「うーん……」
ミネストローネを食べながらアホは唸って何かを考え込んでいる。
思ってたことと違うんだろうな。そりゃボルシチだしな。ミネストローネだけど。
「まっ、いっか!」
そして考えることを放棄したようである。
「んじゃ美味しいの食べたし、今度はいつもみたいにキスして、おっぱい舐めて、気持ちよくして?」
「しょうがねぇなぁ」
今日のカズの唇となだらか大平原はミネストローネの味がした。
◇◇◇
気持ちいいことを覚えてしまった俺とカズの2人は、それに夢中になって、結局のところ、ほぼほぼ受験勉強せずに受験に臨むことになった。
名前を書いただけでは受からないが、カズと一緒に行くためにかなり敷居の低い高校を選んだ甲斐あって、普段はそれなりに勉強している俺は辛くも合格することが出来た。
そしてカズはといえば……。
「はっ、高校受験とか余裕なんですけどwwwこんなん落ちるヤツおりゅ?www」
合格していた。
テスト試験がマークテストだったのが幸いした。このバカは秘技えんぴつコロコロでテストを切り抜けやがった。悪運の強いやつである。
何はともたれ、これでカズと一緒の高校生活が送れそうだ。
「サツキは高校で部活とかするの?」
「いや。部活はしないでバイトするかな」
「やった!」
「なんだそのやったって、何故オマエが喜ぶ」
「えっ、だって自由に使えるお金増えるじゃん!」
「おい待て。俺の財布はオマエの財布じゃねぇぞ?」
「えぇ……」
「そこで「何言ってんのコイツ……バカなの?」みたいな顔すんなバカ。バカなのはテメェだ。バカが」
「何言ってんのサツキ……バカなの?」
「(カッチーン)」
◇◇◇
「ひぐぅっ……!おっ、オほぉッ……!?も、もうゆるじっ……ゆるじでぇ……!んぉッ……!?あっ、ンアッッ……!!!」
最近、カズに対する制裁の内容がどうにもこうにもアッチ寄りになっていた。
まぁ……うん……。
とりあえず、ヨシ!(?)
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