#11



「死に晒せっ!」


「くらうかバカがッ!」



水着に着替えてプールの縁で待っているとバカが飛び蹴りをしてきたのでキャッチ。



ブンッ!(&リリース)



「うぎゃぁっ!?」



バシャーン!(&着水)



盛大な水飛沫を上げてバカがプールに頭から突っ込んだ。



「おぇっ……!ゲホッゲホッ……!はなにみずはいっだ……!もぉ!なにずんだよっ!」


「反射的につい」


「ついじゃないよ!サツキおっことす予定だったのに……なんで僕がこんな目に……」



オマエが俺をおっことそうとするからだろうに。カズはブツブツと文句を垂れ流した。



時期が時期だから利用客は少なく、他の人の迷惑にならないのを確認してぶん投げたが……あっ、監視員の人キタ。


そして2人揃って怒られた。危険な飛び込みは辞めてください云々。


監視員の人に平謝りしながら笑って誤魔化してやり過ごす。



「むぅ……!なんで僕が怒られなきゃならないんだよ……全部サツキのせいだからね!ちゃんと反省しろよ!」


「はいはい。反省してますー」



不満顔で不平を口にしながらカズは一旦落ちたプールから上がってくる。怒られてる時もプールに入ったままだった。



「サツキ、上がるから手貸して」


「ほら」


「引っかかったな!バカサツキ!落ちろザコ!」



俺が差し出した手をとったカズは俺をプールに引きずり込もうと思いっきり引っ張った。


が、しかし、そんな行動はお見通しなので、引きずり込まれないように既に踏ん張っていた。



「ぐぬぬぬっ……おちろぉ……!」



俺を落とそうと力を込めるカズではあるが、カズの貧弱なフィジカルではビクともしない。



「カズさーん。今怒られたばっかっすよねー?それでまた飛び込みはイケないと思うんすよねー!」


「い、い、か、ら、おぢろぉお……!」


「落ちません」



グイッと力を込めてカズをプールから引っ張りあげた。相変わらず軽いなコイツ。



……ん?



ちょっと待て……何か、今、見えてはイケないものが見えたような……。



カズは下はハーフパンツ型の水着に、上はフードタイプの身体に見合っていない大きめのラッシュガードを着ていた。女子力を疑う、色気もへったくれも無い、正直、少年の様な水着姿である。


で、カズをプールから引っ張りあげる際。見下ろす形になった。そのカズの首もと付近からラッシュガードの下がチラリと見えたのだが……。


ピンク色のぽっちが見えた様な……いやいや、まさか……な?



「くっそぉ……絶対落としてやる……」


「おいカズ」


「なに?」


「オマエさぁ……その上着の下になんか着てる?」


「着てないよ。持ってくんの忘れた」


「おふっ……」



思わず変な声出た。忘れたってオマエ……いやカズらしいはらしいけど……それ地肌の上から羽織ってんのね……。



「ほら」



確認とばかりにカズはラッシュガードのジッパーを降ろして見せる。ピンク色のぽっちは隠れて見えなかったが、カズの地肌が丸見えた。本当に上着の下にはなにも着ていないようである。



「ほらじゃねぇ……!こんな所で前を開けるな……!」


「えっ、他に人あんま居ないし、大事な所は隠れてるし別に大丈夫じゃん?」



あっけらかんとしているカズ。羞恥の色は全くない。



「それともなに?サツキぃ。もしかして僕の肌見て興奮しちゃった?ねぇねぇ?興奮しちゃったの?」


「してないがっ……?」


「嘘つくなよー!僕の生肌で興奮したんだろぉー?うわっ童貞くっさぁ!きっしょぉー!」



ここぞとばかりにニタニタ顔で煽ってくるカズ。


その腹立つ顔を見て思う。あっ、そうだ。これはカズだ。一瞬、ちょっとだけドギマギしたが、なんかそう思うと一気に冷静になってきた。



「やっぱカズはカズだな」


「えっ、なんか急に真顔……」


「はいはい。興奮した。興奮した。カズちゃんかわいー。カズちゃんの生肌セクシー(棒)」


「それまったくなんとも思ってないヤツじゃん!」


「さっさとジッパー戻せ」


「なんか釈然としないんですけど……」








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