「ちづらちゃんいらっしゃい」

　受付の奥から看護師の女性が彼女に向って声を掛けてきた。

「こんちわー」

「後ろの彼は彼氏かしら？」

　看護師はちょっと微笑ましそうに聞いた。

「私の一途な彼でーす」

「まぁまぁ、あらあら」

　二人の世界でしばらく話をしていると看護師の方は少しだけまじめな顔をして。

　「今日はあの日かしら？」

　と彼女に聞いた。

「そーなんですよー」

「頑張ってね」

　そう彼女は言われると手を振りながら僕の手を引いて病院の奥へと歩いて行く。

　ついた先は以前彼女が傷だらけにされていた場所だ。

　その時の光景を一瞬思い出し、なんとも言えない気持ちになった。

　扉を開けると「おう、魔女様やっとご登場かい」

　そう山室の爺さんが言うと他の年寄たちの雰囲気が変わった。

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