神泉の翠華

藤泉都理

結界旗




「これより先は神域。気をつけるんだよ、那由多なゆた

「いや、あんたも行くんだよ。先生」

「え?何で?」

「何でって」


 あんたの呪いを解きに行くからだろうが。


 那由多と呼ばれた少女は後ろから押した。

 呪いをかけられて、少女の背丈よりも高いぺらぺらの長方形の白紙の上に、中身がくり抜かれて空っぽになった、緑に黒の縞々模様のまんまるスイカが乗っけられるという謎の姿に成り果てた先生を。

 嫌だいやだと喚く先生を、押して、押して、地面に突き刺された白い結界旗の先へと、神域へと足を踏み入れた瞬間。

 視界いっぱいに広がったのだ。

 ぷかりぷかりと泉に浮かぶ数多のスイカが。










(2023.7.7)



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