第3話

 城壁の背に伸びた梯子を登り切ると、そこは青い色の鎧と普通の鎧を着た大人たちが戦っていた。でも、少し違った。その中には白い鎧の少女が戦っている。


「あ、危ない!!」


 俺は咄嗟に少女を脇にどけた。

 途端に一本の矢が飛んできて、少女のいたところの地面に突き刺さった。石造りの橋の地面にヒビが入ったが、少女は俺の顔を見てプッと笑って「そんくらい鎧で弾けるわよ」と言った。


 よ、鎧?!

 ここは、どこなんだ?!

 何故だ!

 

 な、なんで?

 言葉が通じるんだ?

 見たところ外国人のようだけど……。

 

 でも、女の子が無事で良かった。


 俺はホッとすると同時に尻込みした。

 少女が気合いと共に長剣を振り回して、大勢の戦いの間へと突っ込んでいったからだ。

 

 ここはどこだ! 

 お、俺に……どうしよっていうんだ!

 なんだか。こ、ここ、怖いぞ!


 まるで、戦争の最中みたいだぞ!


 徐々にだが、土煙を上げて戦っている連中がこちらに近づいてきた。よく見ると、橋の向こう側の人たちは青い鎧で、こちらの城側の人たちは普通の鎧だった。どう見ても、多勢に無勢だった。城側が圧倒的に不利だ。そして、あの少女だけ白い鎧かと思ったが……。


 突然、一人の青い鎧の男が俺に斬りかかってきた。咄嗟に足に力を入れて後ろへ逃げる。


「ひえっ!」


 それを見て、大女が大剣を構えこちらに駆けて来きた。


「加勢に来てやったよ!」


 助かった!


 大女の大剣が青い鎧の胴をなんなく斬り裂いた。青い鎧の人が倒れた。


「ヒッ! し、死んでる!」


 初めて死んだ人を見て、逃げ出したくなった。


 当然だが俺は逃げの態勢から、怖くて足が震えていた。正門まで後ずさりしていると、数本の矢が前方から飛んできた。矢は俺の脇を通り過ぎ、地面に次々と突き刺さっていく。


 なんとかなったが、もう後がなかった。


 う……。


 いつの間にか、戦いの間が城の正門まで近づいてきてしまっていた。白い鎧の少女が同じ白い鎧の男と戦っている。


「王族の名にかけて! 負けられない!!」 

「なんの!! 王女よ!! その命貰ったぞーー!! ぐわっ!!」

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