第6話 ガルキマサラでバズる。

遠くの方で戦ってる人がいる。


冒険者の中で強い人たちが戦ってるみたいだ。


50人くらいで、一匹の敵と戦ってる。


なにか巨大なカマキリみたいなヤツ。


遠目で見てるけど、巨大なカマキリは顔はちっちゃいけど、腕が大木くらいあって、そこに生えてる刃物のような釜から切り裂く突風を出してて恐ろしい。


すごい飛び跳ね方をして、なにかかまいたちみたいの出す。


「・・・大丈夫かな? 冒険者の人たち」


「強い人たちみたいだから。よかったわ。初級ダンジョンでも強い人がいて」


「なんか不安だなぁ」


「・・・私たちじゃ何もできないわね。勝つのを祈るしかない」




1時間くらいしてもカマキリみたいなヤツは倒せない。


「ガルキマサラっていうらしいわ。このダンジョンの最下層の敵みたい」


「・・・最下層って41階だったかな?」


「そうね。初級のダンジョンだけど、まだ攻略されてないはずよ」


「あんな強い敵いたら攻略なんてできないよね?」


「初級ダンジョンだし、素材も取れないみたいだから」


「今戦ってるのはBクラスの人たち?」


「そうね。最下層に挑戦してた人たちだと思うわ」


「なんで素材が取れないのに最下層に挑戦するの?」


「初攻略すると名前がウィキイの掲示板に永遠に残るの。有名人になれるらしいわ」


「なるほど」





4時間くらいしてもダンジョンから出られない。


ただ、まだ戦ってる人たちはいる。


誰も死んでないみたいだし、ちょっとガルキマサラもボロボロになって来た。


さすがに50人以上が力をあわせて戦うと最下層の敵だとしても倒せるのかも。


ただ、そのとき、こっちの方にガルキマサラが突っ込んで来た。


ルルナが逃げ遅れて、僕も逃げ遅れた!!!


やばい!!!!


「きゃああああああ」





その後のことはよく覚えていない。


ただ、僕はガルキマサラに襲われたときに、ルルナが落とした物干し竿を


無我夢中になって偶然拾ったらしい。


それで、迫って来たボロボロのガルキマサラの顔面に夢中で突き込んだんだ。


ルルナが食べられそうになって無我夢中だった。


そしたら、ほんとに偶然、ほんとに偶然、


突き込んだ物干し竿がガルキマサラの目を貫通して脳みそを破壊したらしい。


「ぎゃあああぁああああ」


僕がガルキマサラを倒したんだ。


そして、その映像を誰かがカメラに捉えていた。


僕がガルキマサラを倒したことが動画として全世界に流れた。



そこで、僕はバズったんだ。



ルルナがボロボロの僕を抱きしめて泣いた。


「ありがとぉ。りゅうきぃ・・・。あなたのお蔭だわ・・・」

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