第2話 ルルナとソフィーナ

僕は図書館栄養士。伊藤隆起。高校生。


戦えない僕は毎日、図書館で学校帰りにアルバイトをして帰ってる。


それが僕の日課。


バイト中、司書さんにいつも頼りにされてる。


「隆起くん。悪いけど、アルベニアの経済の本見つけてくれる?」


「はい。スキル図書館検索。あっ。ありましたッ。・・北棚3号の12列ですっ」


「ありがとう。いつも助かるよ」


感謝されてうれしいけど、ちょっぴり不満。


僕のスキルは図書館検索しかないから。


世界にある本を一応どこでも調べられるスキルだけど。


本を調べられるだけのスキルだから。


ルルナみたいに少しでも戦えたら僕の人生少しは変わるのになあ。




僕には幼馴染がいる。川上ルルナ。


かなり可愛い彼女はクラスの人気者。ネットでもちょっとだけ人気者。


実は彼女はVtuberをやっていて、結構最近稼いでいる。


でも、配信って人気商売だから大変みたい。


ただ戦ってるだけだと人気が出ないから、


身近にある生活用品でモンスターを倒している。


今日アルバイトから家に帰ってスマホで話をした。


「今回はハエ叩きに毒液つけて戦ったの。けっこう怖かったわ」


「視聴率は稼げた?」


「それなりね。もっと面白い動画撮れればいいんだけど」


軽くため息をつきながら言うルルナの悩みは深い。




僕は母さんと二人暮らし。片親だ。料理は交代で作る。


今日は僕が肉じゃがを作って母さんの帰りを待った。


父さんはダンジョン探索者だったけど、


僕が中学校のときにオーガーに殺されて死んだんだ。


小学校2年のときに父さんが突然帰って来なくなって、


それからうちはずっと大変だ。


だけど、僕は図書館栄養士だ。戦いのスキルが使えないから。


なんとか戦いたいなぁ。


今日母さんに言われた。


「隆起。無理して戦おうとしなくていいのよ」


「でも、僕も戦えてダンジョン中継者になれば稼げるんだよね?」


ダンジョン中継者は稼ぎが多いから。うらやましい。


1億円とか平気で稼いでる人間がいるし。


僕は悶々として眠りについたよ。





僕は高校1年だけど、クラスで図書館栄養士だから揶揄われる。


たまにだ。クラスの中山が特にひどい。


朝方HR前に中山にからかわれた。


「栄養士。お前ダンジョンも潜れないんだろ? ははは」


「・・・潜れないわけじゃないよ」


「ダンジョン1階にしか入れないヤツは戦ったって言わねえよ。ばーか」


「ッ・・・」


強くなりたい。すぐに強くなりたい。


図書館よりもっと戦って稼げる仕事がしたい。


そこでルルナに言われたんだ。


「Vtuberとしての私の撮影をアルバイトで手伝ってくれない?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る