3章 オレタチの終着点
第39話 自由の墓地
自由の墓場ダンジョンにオメガはいる。
先程各地にテレポートして多くの異種族をこの自由の墓場ダンジョンに移動させた。
ありとあらゆる異種族がその種族に適応した階層にいる。
もちろんその中には異種族と手を組む人間だっている。
現在円卓には自分を含めると11人の仲間達が座っている。
円卓とはいえ元々は盾なのだが。
その他にもエルフ族のラルフ王子とリャナイ姫がいる。
「では、初めましての人もいるから1人1人自己紹介しよう」
オメガがそう告げる。
その肌はすでにドワーフの肌ではない。
褐色、いや黒々しいと言えよう。
それがダークドワーフの証なのだから。
赤いリザードマンが椅子から立ち上がった。
それと連なるように青いリザードマンも立ち上がる。
「あたしはリザードマン族のガニーだ爆弾系が得意だな、いつも弟と組んでるよ」
「僕はゲニーだよ姉ちゃんが作った爆弾を超高速で投げる役目だよ」
次に立ち上がったのは魔族のルウガサーだった。
「わたしは魔王ルウガサーこのダンジョンを作ったと言っても良いが主はオメガ団長だ。モンスターを使役したり体に組み込んだりできる。色々と出来るよ」
次に立ち上がったのはアンデット族王のボーン・スレイブ卿だった。
「わしはアンデット族であり王のボーン・スレイブ卿だ。憑依玉の力を借りて、スケルトンの大軍でレベル億を超える事が出来る。皆から見たらレベル0だがな」
次に立ち上がったのはコボルト族のペロンクだった。
「ぼくはコボルト族のペロンク、最高の道化師になるんだ。人間も異種族も笑える世界を作りたい」
次に立ち上がったのはエルフ族のリナテイクだった。
「うちはエルフ族のリナテイク。ジョブチェンジして戦う変わった感じ。姿かたちをリメイクして欲しいなら改造しちゃう?」
次に立ち上がったのはグール族のブレイクだった。
「わたしめはグール族のブレイク、人間のふりして英雄やっておったが今は悲しい事にこんな小さな人形の姿、とほほ」
次に立ち上がったのはヴァンパイア族のヴァンロードだった。
「俺様はヴァンパイアワールドをオメガ団長の仲間に救われ恩義を感じた。この世界が危ないと知り立ち上がった次第。名前をヴァンロード伯爵と呼ぶ」
次に立ち上がったのはトロール族のグスタファーだった。
円卓の間はとてつもなく巨大な為、グスタファーの巨躯でも大丈夫だったりする。
「もれはだんちょーの墓がここにあるから、だんちょーが守りたかった人間を、良い人間を守りたいから。でも悪い人間は倒す、あ、もれはグスタファーだよ美味しい料理は任せてよ」
最後に立ち上がったのは1本の剣。
ふわふわと浮遊している魔法族のレインボーだった。
「人間は自尊心が高い、きっとこの世界で一番最初に生まれた種族だからだろう、だが中には快き人もいる。だが残念な事に今の人間は不必要と判断せざるおえない、前置きはさておき、石ころから派生進化した魔法族のリーダーレインボーだよろしく頼む」
エルフのラルフ王子とリャナイ姫が簡潔に自己紹介する。
ダークドワーフ族の代表としてオメガが立ち上がる。
「では現状の説明からだ。俺がドワーフ王を引き継ぐ事となった。先程ぼろぼろになったドワーフ村全てを解放し自由の墓場へとテレポートさせた」
オメガは淡々と答える。
「リャナイ姫が察知した事がある。それは神族と呼ばれる外部の世界の侵略者がやって来たこと、今世界は人間VS異種族VS異世界異種族VS神族の4つどもえでさらに所々が同盟を組んでいる。俺達の役目は被害者を減らす事だ関係ない人間、そして異種族を助ける事だ。忘れてはならないのは刃向う奴は皆殺しだ。聞く耳を持たぬ奴は何度言っても分からない。そのせいでこちらが関係のない奴が死ぬのはもう嫌だ」
オメガが発言しきると。
全員がだんまりになった。
「俺はダークドワーフ、普通のドワーフではない、その体には力が宿る、だが使い方を知らない。本当に情けない。この力を使って多くの生命を救いたい。さて、今自由の墓場には100万の異種族と人間が住んでいる」
全員が大きな瞳を開いて驚いている。
「彼等を守るのはレベル8000のモンスター達だ。俺達は敵を倒しに行くぞ」
「それはどいつからなのかな?」
ボーン卿が骨の口を釣り上げて笑った。
「決まっている俺達がこの戦いを始めたのは人間達に復讐するからだ。その後に異世界の異種族、神族を相手すればいいし、戦っている最中に相手せざる負えないだろう。新しい仲間のヴァンロード、グスタファー、レインボーよろしく頼む」
3人が頭を下げると。
「リャナイ姫映像を頼む」
「はいなのです」
その場にいた数名が驚いていた。
「リャナイ姫、話せるように?」
魔王ルウガサーが尋ねると。
「はいなのです。神族が来たとき、全ての記憶が戻りました。リャナイ姫、いやこのわたしは魂そのものが神族なのですから」
オメガは頷く、リャナイ姫、その本質は神族。
何の因果化神族の魂がエルフ族として転生してしまった。
エルフの魂と神族の魂の狭間でリャナイ姫は苦しんでいた。
神族がここにやってきた事で全てが理解する事が出来た。
「向かう先は人間王国の国だ。そこで皇帝陛下とけりをつける」
【はい、団長】
全員が頷き、オメガはテレポートを発動させる。
瞑想スキルにより、人間王国がどこなのか理解していた。
だがバリアが張り巡らされて人間王国の城の中にまではテレポートする事は出来なかった。
オメガ、ガニー、ゲニー、魔王ルウガサー、ボーン卿、ペロンク、リナテイク、ブレイク、ヴァンロード、グスタファー、レインボーの11人が勢ぞろいしていた。
皆それぞれの歴史があった。
それぞれに理由があって生まれてきて、理由があって苦しんできた。
それでも彼等は出会って、一つの目標の為に動き出す。
それは。
「人間へ復讐を」
ダークドワーフのオメガが叫び、仲間達がそれに連なって叫ぶ。
人間王国、現在あちこちの村や街から避難させ、人口は100億を超える。
兵士だけでも100万を超える。
数えきれない異世界の異種族が現地の異種族と共闘し人間を滅ぼす為に動いている。
だが、そこへ第三の勢力、名もなき傭兵団が動き出そうとしている。
遥か上空では神族がのぞき込み。それをオメガは感じ取る事が出来る。
風が舞い上がり砂埃が舞う。
大勢の生命が散る事だろう。
するとただの剣の姿をしているレインボーがため息をついていた。
「どうやらあの英雄たちが蘇ってるそうだな」
「ああ、そうだな」
オメガはただそう呟き。
脳裏の中で勇者候補生が恐らく23名いる事を思い出す。
あの勇者イルカスだって、ただならぬ皇帝陛下だって。
その時。空が大爆発した。
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