ひさしたるかげのうた

陽炎啄みてサソリの毒まわる体に軋む骨
肉体の跳ね上がる衝撃に目覚めた憎心の痛み止め
歯痛から蝕まれる手を入れたお前の舌に乗っける私の一つの肉欲
絡みゆく咀嚼温度
絡める毒液、むじむじとむずく性器に剥き出しの情念が擦り合わせる蠅の
菌繁茂す、傲慢な化粧に匂う汗は染みついた心臓の弾力が雄蕊の菊に止まる

風が吹いた。

洗い髪の少女よ
シャンプーに塗り込めた情熱は、麝香の誘因、発芽する邪恋は、横取り恋慕の影の歌。

また風が吹いた。

すると、バス停で待つ。お前が制服のスカートを手繰り寄せて、見せる、魅了の黒い陽だまりが燃え上がる揮発性の性欲、麝香は邪念でまさぐりたい。
こころ、まだ、そこにある。
灯、さしたる、影が、君の影を、重ねて、指が絡む、振り向いて頬は染まる、微笑に止まる蠅は、まるで、君の涙に溺れて、黒い蝶々になった、祈祷の濡れ詩。

あいさんさん ほちょうはあわく ゆきのような くろいべに ながれるこいは しゃそうの そうそう どあがひらいて こいゆきぐもる