第6話 雨の中のパーキングエリア

「ふふっ…。図星の顔だ…。センセ、顔はい良いからね! 生徒にはモテるよ。うん。そこは、認めてあげよう…」


「でもさ…、あたし…の事…全然好きじゃない?」


「いきなり何を言い出すんだって?」


「あーあ、やっと乾いてきた首時の汗、まーた滲んできてるよ」


「センセってさぁ…、結構、スケベでしょ?」


(ツンッ!)


「イタッ!」


「え? 指でおでこ触っただけだから、痛くはない?」


「そういう問題じゃない!!」


「お前が変な事言うからだ?」


「へー…やっぱりスケベなんじゃん!」


(ペシッ)


(デコピンの音)


「イッタ!! 今度のは、本当に痛い!!」


「もう…良い加減、降参しなよ…。あたしの事…好き…でしょ?」


「なんでそんな事が言えるのかって? センセ、いつも…あたしの事…見てるじゃん…」


「…押し黙るって事は…そう言う事…でしょ?」


「あたしが、それに気づいたのは、あたしも…センセが…」


「それ以上言うと、今すぐ降ろす?」


「……じゃあ…言わないけど……」


「それがいい? ……降ろしたくないって事…?」


(ブロロロロロロ……)


(少しずつ、スピードが落ちる)


「……もう…着いちゃうもんね…」


「センセ、あたしなら…良いんだ…よ?」


「あたし…センセが好き。本当に好き。だから、もう少し…一緒に…いたいな…」


「そこの角、曲がったところに、パーキングエリアあるから…少し…話…しない?」


「何の話をするのかって? …うーん…、国語の…話とか? 私、古文、やばいし…」


「あー!! こういう時だけ大笑いするんだ!! ひっどー!!」


「良いもん! そう言う事言うなら、明日、学校中に今日センセに送ってもらったこと、言いふらしちゃうよ!」


「とんでもないこと言うな? だったら、パーキングエリア…いこ?」

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