投稿ご苦労様です。
邦訳ですが、『そして誰もいなくなった』は読んだことがあります。その内容はあまりちゃんと憶えていませんが。
『Ten Little Niggers』が『Ten Little Indians』に改題されたことを考えると、もともと、クリスティーの頭にあったのは、アメリカ本土の黒人ではなく、西インド諸島、具体的にはジャマイカ当たりの黒人を指していたのかも、とは想いました。
ジャマイカといえば、レゲエ・ミュージシャンのボブ・マーリーが想い浮かんだりします。ご存じかもしれませんが、ジャマイカというのは、スペインの支配下の後、イギリスの植民地となったので、英語圏なのですね(同じ西インド諸島にくくられるキューバなどは、スペイン語圏です)。ボブ・マーリーが世界的なミュージシャンたりえたのは、まさに、その歌詞が(宗主国の言語である)英語で歌われたからというのに拠るところが大きいのかなとは想います。ここら辺は、まさに歴史の皮肉ですね。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
西インド諸島、あり得そうですね。そういえば、ミス・マープルが静養のためにリッチな甥に送り込まれたのがカリブの島で…これはまだ読んでおらず具体的にどこなのかは知らないのですが。
ただ、奴隷貿易でアフリカから運ばれた奴隷がカリブ諸島に送られたりと、人の移動が激しかったようで。大XX帝国とかイキってた国はろくなことをしませんね(あっなんか耳が痛い)。
『そして誰もいなくなった』の登場人物も東アフリカで悪事を働いていたり、南アフリカ帰りだと嘘をついたりします。
多民族・多言語国家のインドにおいてガンジーが自らの言葉を民衆に広く届けるためには英語で話さなければならなかったのだとか。これもとんだ皮肉ですね。
第20回 The Winds of Marble Arch ①への応援コメント
時間を見つけて読ませていただいています。なんか色々興味深い本があるため、今度図書館に行って探してみます。
ちなみに私はちょっと前にDavinci Codeを原作で読みました。いつも通りの乱読ですが。そして今アガサクリスティーのABCMurdersを読んでいます。
アガスクリスティーの本意外と面白いです。私は推理系はそこまで好きな分野では無いのもあってほとんど読まないのですがDavinci CodeよりはABCMurdersの方が好きです。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
紹介した本に興味を持っていただけると非常にうれしいです。
ABCMurders! いいですね。自分も読みたくなりました。一度読んではいるのですが、随分前のことなので細部が曖昧になっていて、読み返すのにはいい頃合いです。でも他にも色々読みたいものがありすぎて追いつかない状態です。
Davinci Codeは映画を観ただけなのですが、そういえば現代が舞台のクライム・サスペンスを最近読んでいないなあと。現代ものは、暴力シーンが多過ぎる気がして。でもたまに読みたくなるんですよね、最初から最後までハラハラしっぱなし、みたいなものを。
第18回 検証を終えてへの応援コメント
投稿ご苦労様です。
上記の『It may cause an unborn child to be born blind or to be born mentally affected.』にヒリヒリしたものを感じました。日本語訳は『unborn』をちゃんと訳していませんね。『unborn child』なので、『堕胎された子供』、もしくは『生まれるべきでない子供』となるのでしょうか。誰しも自分の子供が五体満足で生まれることを願う。ただ、現実に、そうなるかもしれないしそうならないかもしれない。実際、そうした子供を授かったらどうするのか? 母親が抱える不安が伝わって来ますね。ここら辺はやはり女性であるクリスティーならではかなとは想います。
こうした表現とは別に、クリスティーはミステリーでやれることのほとんどをやってしまっているんではないかとさえ、想えます。これを言うと、ミステリーの作家に殺されそうですが、現在のミステリーはクリスティーの二番煎じではないかと想えます。もっとも、エンタメである以上、二番煎じであれ、面白ければいいんですけどね。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
このunbornは「まだ生まれていない」つまり「胎児」という意味です。なるべくネタバレを最小限に抑えたいと思ってその前の文を削ったがために恐ろしくわかり辛くなってしまい申し訳ありません(特にItが何を指すかわからない状態だと意味を取り辛いかと)。ストーリー全体を知っているはずの自分も、この一文だけ抜き出して改めて読んだ時、3回ぐらい読み返してようやく理解できました。
この文、unborn, born, bornってちょっとくどいですよね。最後のmetally affectedというのが、この文中においてはそう不自然でもないように感じられるのですが、やはりポリコレのために書き直された感じもして、もしかして検閲修正の際に他の部分もいじったせいで不自然になったのかもしれません。でも、あえてbornを3回使った可能性も否めないような。
和訳は、原文のもたつく感じは敢えて無視して(あるいは書き換えられる前のもう少しすっきりした表現に合わせて)すっきりまとめていますね。
ちょうどいい時期に作家になったという幸運もありますが、やはりクリスティーはぶっちぎりなんですよね。そんなアンフェアなネタ使う?みたいな大胆なことも平然とやってしまう。さらに、女性であるが故、ささいな日常の出来事から悲劇を生み出すのがうまいと感じます。女性ならではの悲劇や恐怖をそれはそれは残酷に描く。ミス・マープルと同じで人間観察の成果なのか……
ミステリも密室だの離島だのといったテンプレの応用ですからね。真にオリジナリティ溢れるトリックなんてもはや不可能に思えます。
第6回 古き良き時代の英国に思いをはせるへの応援コメント
中西輝政さんの『大英帝国衰亡史』に第二次大戦中後の英国の苦労が出ていた記憶はあります。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
『大英帝国衰亡史』、未読ですが、近所の図書館にあるので読んでみます!
第13回 21世紀の検閲への応援コメント
児童書とはいえ、ブラックジョークが持ち味のダールをそんなことでいちいち削ってたら、身がまるで残りませんね。そのまま、ダールはつまらないという風潮になったら目も当てられないです。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
そうなんですよね、あの子供相手といえども情け容赦ない感じも含めてダールなのに……幸いこのダールの検閲については続きがあって次回に続きます。それでようやくクリスティーに戻ります。
第2回 辞書の使用は最小限にへの応援コメント
私はハリーポッターシリーズを読む際に、ある程度
日本語のハリーポッター用語集みたいなのを読んでから
原典を読みました。すると魔法用語とかがスラスラ
わかって読みやすかったのはあります。
後は、わからない単語があっても、繰り返して出なければ
放置しています。いいのか悪いのか・・・
作者からの返信
辞書の使用は、多読にある程度慣れて、更に英語のレベルアップを図りたいと思ったら、避けられなくなるでしょうか。
母語である日本語と同じぐらいの速度と理解力で読む、と自分は大それた目標を掲げていたので、読んでる本から知らない単語をピックアップして単語帳を作ったりしてました。でも常にそうせねばならないと思うと嫌になってしまうので、やる気になった時に。
この目標は残念ながら達成できていませんし、今はもう記憶力も衰えているので、辞書は気が向いた時に引くだけですが。電子書籍は便利でありがたいです。
第1回 汝、訳すことなかれへの応援コメント
初めまして!私は仕事で英語を使ってきました。留学歴も幾つかあります。
ペンギンで何冊も読んできました。最初に読んだのは高三の時、Hemingway
のThe Old Man and The Sea です。老人の語りが本当に聞こえるようで
今でも愛読書のひとつです。彼が執筆してたキューバ行きたい。
次に読んだのが小泉八雲の、Kuaidan で、これはとても感動して、
松江にある旧居まで行きました。その後、ハリーポッターシリーズは
4冊くらいハードカバーで読みました。ここで洋書読まれる方を知り、
嬉しい限りです。私も辞書はあまり引かずどんどん読むタイプですよ。
羊たちの沈黙、も面白かったかな。
作者からの返信
始めまして!コメントありがとうございます。
初洋書がHemingwayですか。やっぱり真面目に高校生まで英語を勉強すれば洋書もいけるんですね。すばらしい。
わたしの初洋書で児童書じゃないものは、Stephen KingのPet Semataryでした。自分は大人になってから英語の勉強を真剣に始めたので、読書もPenguin Readersや児童書から始めるしかなくて。そろそろ大人の小説を読むかと思って悩んだ末に、日本語では何冊も読んでいたので行けるんじゃないかと思って選んだキングですが、なにせ長くて…読了に半年ぐらいかかってしまいました。
ハリポタは全巻原書で読みました。最初は無邪気な児童書でよかったのですが、3冊目あたりから子供向けとは思えない厚さで内容も重くなり……でも、性懲りもなくキングのIt(千ページ超え)とかトールキンThe Lord of the Ringsとかに手をだしてしまうので、お陰で鍛えられました。でもトールキンは難しかったです。。
第7回 ちょっと脱線:英国の古書店と文通をへの応援コメント
『チャリング・クロス街84番地』大好きです! 映画が素晴らしかったですよね。
古書店といっても今のブックオフなどとはまったく違い、専門知識をもった学芸員を揃えているような趣のあるものでした。
今はもうないなんて、哀しいことです。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
仲間がいて嬉しいです! 自分も映画から入ったのですが、原作(英米間の書簡集)も読むと、これをああいう風に映像化したのスゴイ! パーフェクト! と新たな感動が湧くのではないかと思います。
ああいう古書店、憧れますよね。効率化を極めたファスト古書店みたいなのも便利でいいのですが、やっぱり店主の専門知識に唸らされるようなお店に末永く存続していただきたいです。
わたしは地方在住なのですが、神田の古本屋街にはそういうスペシャリストの古書店がまだかろうじて残っているのかなあ、と羨ましく思っています。
第2回 辞書の使用は最小限にへの応援コメント
こんにちは
今日結果が発表されて英検一級受かっていました。
私もいつまで経ってもいちいち訳している人はネイティブと一緒の社会ではうまくやっていけないと思います。
今読んでいる本が終わったらアガサ・クリスティーの本を図書館で探してみます。
作者からの返信
おお、すごい。おめでとうございます!
アガサ・クリスティーは多産な作家なので、どれか図書館にあるといいなあ。
何から読んでもいいのですが、Curtainだけはできれば避けていただきたいです。単純に、これはミス・マープルと並ぶ名探偵エルキュール・ポワロの最後の事件のお話なので。
第1回 汝、訳すことなかれへの応援コメント
中1で英検準一級を持っています。がもう直ぐで英検一級を取れるかも。結果待ちです。
私は推理系小説は殆ど読みませんが最近は英語の本の方が日本語の本より読んでいるかもしれないって言うぐらい日本語の本を読んでいません。近所の図書館には英語の本しかなくて日本語はゼロです。
ただ私も英語をわざわざ日本語に訳す必要がないと思います。
英語を訳すのってめんどくさいしたまに辞書で調べてもそもそも日本語の単語を知らずに英語で覚えてしまっている単語が存在するレベルなので。まあそれぐらい日本語がダメってことですが。それの大体の意味がわかれば楽しめるし。
私が精読するときは学校の課題図書とかでなんかプロジェクトやテストがある時だけです。毎回精読すると面白い本が退屈になってしまうと思います。
今度機会があったらアガサクリスティーの本も読んでみようと思います。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
英語を勉強するのには理想的な環境にいらっしゃるようで、羨ましい。十代の自分はまったく英語を勉強していなかったので、まぶしいです……英検、良い結果が出るといいですね。
英語の読解力やスピーキング能力を高めることが第一の目的場合、日本語を介入させることは弊害でしかないと思っています。ずっと「では訳してみましょう」式の教育を受けた人の場合、一体どこでそれをやめるのでしょうね。どこかの段階で英語は英語で理解し処理する方式に切り替えないと、とても長文など読めないし、リスニングでも間に合わないと思うのですが。いつまでたっても同時通訳者のような超高速翻訳で対応しているとしたら、すごいと思うけど、怖いです。
アガサ・クリスティーに興味を持っていただけただけてうれしいです! そういう人が一人でもいたというだけで、このエッセイを書いた甲斐があったと思います。
はじめにへの応援コメント
はじめまして!
ジョアン・ヒクソンのBBCドラマ「ミス・マープル」が私も大好きです。4巡くらいは観たかもしれません。
あのドラマの出来があまりにも良いので、原作よりも断然ドラマ派になってしまったのですが、原書に挑戦されるとは素晴らしいです!
「パディントン発4時50分」が特にお気に入りですが、「鏡~」も素敵でしたよね。
作者からの返信
はじめまして。コメントありがとうございます。
わたしは、クリスティーファンだった割にミス・マープルものはちょっと地味すぎると思い長年敬遠してきたのですが、あのBBCドラマではまりました。あの配役は、さすがにクリスティー自身がマープルを演じてほしいと切望した女優さんだなと感心しています。BBC以外のマープルドラマもあるようで、それも勿論興味はあるのですが、わたしのミス・マープル像はもうヒクソンで決定です。
このエッセイでは、ドラマについても触れたいと思っています。原作がどのようにドラマ化されたかという視点からじっくり鑑賞するのもまた楽しいです。
どのマープルドラマが一番好きか、アマプラのリストを眺めて考えていたのですが、どれも好きなので一つ選ぶのはなかなか難しい……でも「ポケットにライ麦を」に一票入れようかな。もちろん、「鏡」も「パディントン」もいいですよね(結局全部好き)。
第12回 表現の自由と信仰の自由への応援コメント
御作『Salmon Rush Day ーピンクの鮭が遡上する川でー』続きで、拝読させて頂きました。
目から鱗でした。
『彼を糾弾する人々のほとんどは、小説を読みもしないで批判をしていた』
よく知りもしないで常日頃の不満を便乗してぶつける心理は、どこでもあるとは思いますが、
『それを読むこと自体が神への不敬になってしまう』というポイントは、気がつきもしませんでした。
そんな縛りがあったとは……。
……知る機会を奪われるというのも不幸ですね💧
宗教というのは本当は人の幸せのためにあるべきはずなのに、何故か思想優先、押し付けになっていって、不幸を導く方に進むのはなんともやるせないです。
『自由』という意味も本当に難しいです。その対義にある『束縛』が一緒にくっついて来る。誰かの自由は誰かに負荷をかける。
それを考慮すると、もう自由ではなくなってしまうのか。
全ての人が完全に折り合いをつけられるとも考えられず、そうするといっそのことAIに管理されたほうが世界平和になるのでは、という暴論まで考えてしまいます。
あくまで暴論ですが。
話変わって、ラシュディ氏が10年間は警護されていたとのこと。
日本だったらせいぜい数か月だろうなあ。
いくらなんでも個人にそんなに税金を使えないだろとか、ブレない日本国家は言いそうで。
長々と失礼いたしました。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
ラシュディの警護に莫大な税金が使われることについて、英国でも非難轟々だったみたいです。変わらず彼をサポートしてくれる仲間には恵まれていたけど、同じ作家でもロアルド・ダールやジョン・ル・カレは彼とは敵対していました。「イランが怒るのも当然で、ラシュディは殺されて当然」なんて政治家が平気で口にしたりして、30年前のこととはいえ、ゾッとします。
警護は国から提供してもらえても、潜伏先は自分で探さなければならなくて、私が想像したようにホテルを転々と、ではなくて、友人知人の別荘を借りたり、偽名Joseph Antonで借家を賃貸したり(これは自腹です)、引っ越し生活に疲れ果てて家を購入した際には、住み込みの護衛用の部屋を確保したり、ドアを鉄板で補強したり……大変だったみたいです。
ただ小説(フィクション)を書いただけなのに。
今日もイスラエルとガザの間の不穏なニュースが流れて来て、本当に、どうしてこんなことになるのかと悲しくなります。