冬の養蜂場

第8+8話 冬じたく

 

 //SE ニホンミツバチの羽音

 //SE 電動ドライバーの音



 「これで良し!!」



 //SE 巣箱に屋根を乗せる音



 「ここら辺は冬に雪が降るから雪が降っても巣箱の中が寒くならないようにこうやって巣箱に屋根をつけてあげるんだ」



 「これからニホンミツバチさん達は冬をこの巣箱の中で過ごすんだ。その間は秋までに蓄えていた蜂蜜を食料にして冬を過ごすんだよ?」



 「そっ、だから秋の採密さいみつの時に全部はとらなかったわけ」



 「さてと……これで今年のニホンミツバチさん達のお世話も終わったし、今週の週末はまた街におでかけしよっか♪」



 「え? ダメなの? ……なんで?」 /悲しそうに



 「え!? 東京でけ、研修!?」



 「し、しかも2週間!? そんなに長いの!? が~~~ん!!」



 「い、いや……何でもない」 /少し気まずそうに



 「ま、まぁ研修は大事だしね。久しぶりに同期のみんなに会えるんだし……た、楽しんでくる……と、い、いいぞ……」



 「た、ただ……研修中にニホンミツバチさんのことを忘れるとた、大変だから……研修中はあたしが毎日ニホンミツバチさんたちの写真を送るから……いい?」



 「よしっ! ちゃんと毎日返信するんだぞ? 分かったな?」






 ♦ ♦ ♦






 //SE 走って駆け寄って来る音



 「おかえり。ひ、久しぶりだね……け、研修はどうだった?」



 「そっか……久しぶりの東京も楽しめたみたいで良かったね。じゃあ乗って!」



 



 ♦ ♦ ♦

 





 //SE 家の中へ入る音



 「ふ~~、着いた。なんか本当に久しぶりって感じ。本当に2週間だったのかな? 1か月くらいいなかったんじゃない?」



 「え? そんなことないって? ふふっ、まぁ元気に帰って来てくれて良かったよ♪ じゃあ、ちょっとニホンミツバチさん達の巣の見回りにでもいきますかぁ」



 //SE 何かが落ちる音



 「え、何? ……あっ、あたしのスマホ!! ちょ、だ、ダメ!!」



 「……なんでホーム画面がキミの写真なのかって? べ、別にいいじゃん!! 弟子の写真をホーム画面に設定しててなにが悪いわけ!?」 /動揺した様子で



 「だ、だってさぁ……に、2週間もいなかったんだよ? その間、な、なんだか寂しくって……最近ずっと一緒だったし……」



 「と、盗撮ですよって……そ、そんな重大な罪なの!? ちょ、ちょっとキミの養蜂場での仕事風景を撮っただけじゃん!!」



 「そ、そんな犯罪者扱いしないでよぉ……」 /泣きそうになって



 「え? お願いを聞いたらこの件は許してもいいって? わ、分かったよ。お、お願いって……なに?」



 「え? クリスマスの予定? ……ないけど」



 「えっ!! クリスマスに街におでかけ!? そ、それで許してくれるの?」



 「それってむしろご褒美なんじゃ……」 /少しにやけた声で



 「い、いや何でもないって!! わ……分かった。じゃあクリスマスはキミを勝手に盗撮したお詫びにく、クリスマスに……い、一緒にでかけよう……」

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