第24話 最果て

 最果ての地に辿り着いたとき、そこにはなんにもなかった。今まで遠い旅をするためにあらゆるものを捨ててきた彼にとって、長年夢見てきた地は、昨日歩いてきた場所と、なんら変わりはなかった。彼は絶望した。いや、絶望すらそこにはなかった。こうであろうな、という納得が、微かにあった。彼は座ってみた。座って、家を出てきたときのことから思い返し始めた。幼少期の頃の記憶も引っ張り出した。

 そして数分で飽きて、来た道を戻ることにした。旅はこれから始まるのだ。なんにもない最果ての地から、余計なものまである世の中へ戻るのだから。

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