第6話通行止め。子供達と連絡が取れ無いんです。

 その頃、東京では売って居た商品が完売し片付けて居た頃、銚子では凄い事になって居る事を知り、慌てて帰る事を決めていたが、電車が出ず、バスやタクシーも思う様に出ず、東京から銚子に向かう事が出来ず、待機状態を余儀無くされていた。


「このまま銚子に戻るのは返って危険では無いでしょうか。明日交通機関が正常に戻ってからの方が良いのでは無いでしょうか?」


「何をゆうちょな事を言ってるんですか。子供達が家に居るんですよ。学校に居るかもしれない。親が居なくて、心細くしているんです。早く帰ってあげたいんです」


「歩いてでも帰ります。子供達が待ってるんだ!」


「!」


「こんな所から歩いて帰れる訳がない。無駄死にする様な物です」


「じゃあ、どうしろって言うんです」


「!」


 感情を剥き出しにする親。漁業の者。実行委員会の者。騒ぐ者。道の駅関係者の皆様などの議論が行われている。

 結果。行ける所まで行くと言うことで落し所となった。但し、無茶はせず、進める所まで進むと言う約束の形でだ。


「何処までなら、バスで行けるんですか?」


 楓が運転手に食ってかかる。


「途中まで行けても危険なんです。川の水で道が寸断されてそれ以上進めません。ですから、行か無い方がいい」


 運転手が言った。


「子供達が家に居るんです。残ってるんですよ。歩いてでも帰ります。だから、行けるところまでで良いんです。バスを出して下さい」


 大樹は懇願する。だが、バスは行ける所まで来て居る。通行止めだ。迂回するしか無い。これ以上道を探すにしても、危険を負ってまでする物ではない。


「落ち着いて下さい。このままじゃあ。二次被害が出るんですよ。それが分かって居ながらバスを出す事は出来ません」


 強い口調で運転手が止めた。


「ごめんなさいね。楓さん。あなたを止めたりしてあなたは家にいたがって居たのに私が無理矢理連れて来た形になってしまって、本当にごめんなさい。家に居たら、今頃は子供達の面倒を見ていられた筈なのに本当にごめんなさい。悪かったわ」


 椿は謝罪した。いても経っても居られなかったのだ。


「お母さん。お母さんのせいじゃありませんよ」


 どうにも出来無い保護者達は途方に暮れて居た。

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