第4話 リアルなダンジョン4

 ダンジョンアタッカーの特典選択まで残り12時間を過ぎた昼頃。


 特典は3枠で、アイテムから装備品にスキルに魔法と非常に幅広い選択肢がある。


 というか、選択肢がありすぎる上に全て同じ枠に押し込まれているので探しにくいというレベルを超えている。


 一応各自で選択できる内容は若干変わるものの、程度の差はあれ物理も魔法もある程度はやれないと中級ダンジョン以降は話にならない。


 良くある物理無効の魔物やら魔法無効の魔物なんてまだ良い方で、火炎魔法を放ったら敵が炎吸収で利敵行為になってしまったり……だいたい一通りやってしまった苦い経験もある。


 ある程度自分でもリストを辿っていきつつ、ゲーム内で習得していたお気に入りスキルなどを思い出してメモっていく。


 そうしている内に、チャットに新着の表記が付いた。


 ーーーーー

 散弾バラ:ようやくデスマから解放された。まさか、業務内容が変化するなんて思わなかったぜ(笑)

 タクミ:散弾さんじゃん。おめー

 キノコ大将軍:お疲れ様~。ログは読めてます?ダンジョンアタッカーの特典の選択が今日までなんですけど……


 ーーーーー


 この世界が変化してから一番の被害を受けたらしい散弾さんが顔を出したので、皆に混じってお疲れ様と打っておく。


 ーーーーー

 ハカセ:お疲れ。リストはある程度分類して纏めておいたよ。[画像][画像][画像][画像][画像]

 ウエダ:ありがとう!やっぱり取得は散らした方が無難?

 ハカセ:開幕ムーブとしては一極もありなんだけど……オススメはしないかな。

 ジンジャービール:俺の調べた結果だと、この世界にダンジョンが出来たのは半年前で、ネット上に載せてる情報だと、一極型ばっかだね。

 柏持ち:ダンジョン配信なんかは結構人がいるんだけど、ガチガチなテンプレビルドとか全然いないよ。

 というより、スキル入手の条件もどんなスキル持ってるかも自己申告制なんだよね。

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 ウエダ:[異次元収納]はやっぱり鉄板ですね。

 ハカセ:1枠は使う価値があるだろうね。とはいえ、取得して直ぐはせいぜい2キログラム程度しか入らないからレベリングが必要かな。

 鼻眼鏡:スキル取ったらさ、近いうちにダンジョンオフ会しない?

 効率の良いレベリングをガッとやっておきたいんだけど。

 キノコ大将軍:平日は無理……土日は大丈夫。

 ハカセ:そこら辺は後で詰めよう。

 では各自取得を忘れないようにね。


 ーーーーー


 ハカセ達が纏めてくれたリストは5つに別れていた。

 アイテム、装備品、汎用スキルに魔法スキルと物理スキル。


 ゲーム内でのスタートダッシュは[身体強化]を取得して物理ルートが安定していた。


 やっぱり体が丈夫になればその分被弾リスクとかが多少は問題無くなるのは大きい。


 現実となった今なら……武器での攻撃は出来た方が良いし、[身体強化]のような強化魔法は便利だろう。


 悩んだ末に、[魔法の心得]、[槍術]、[異次元収納]の3つを選んだ。

 これは多分皆大して変わらないと思う。


[異次元収納]は、いわゆるアイテムボックスとかインベントリ、もしくは未来から来た猫型ロボットの持っている例のポケットである。初期容量は2キロとたいしたことは無いけど、重量軽減がちょっとあるから地味に助かる。

 水の入ったペットボトルを常に持ち歩けると思えばその利便性は伝わるだろうか。


[魔法の心得]は魔法の習得難易度緩和、魔力消費量低下、魔法威力の増加が複合されたスキル。

 いわゆるぶっ壊れ系のやつで、当然序盤に入手できるものでは無い。


[槍術]は該当武器を手足のように動かせるスキルだ。地味でしょぼそうに見えるが、曲芸の類もしれっと出来てしまう強スキルでもある。

 剣や弓じゃ無いのは被ったら何となく嫌とかいうやつだ。特に意味は無かったりする。


 ゲーム内では魔法寄りのビルドだったから俺の選択肢になかったけど、物理寄りだと[武術の心得]というぶっ壊れスキルもある。


 なんにせよこれで本格的にダンジョンに潜れるだろう。


 オフ会までにはある程度素材なんかも確保しておきたい。

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