19.なんかVSっちゃったので
どうも、よく分からないうちによく分からないくらい巨大なナマズと相対しちゃった人です。
さて、どうするべきか。
幸いナマズは今のところ水面に浮かんだまま停止して動かない。
戦う──という選択肢はコイツと対峙した瞬間に消した。
雰囲気的にそうであろうが、一応コイツが敵なのかどうか分からないし、どんな手を使ってくるかとかも分からない。
あと一つ物凄く大事な要素があって、デカすぎる。
仮にコイツの攻撃手段が体当たり一辺倒だとしても、森ごと吹き飛ばされて終わりだ。
つまり、残った選択肢は何か。
──逃走である。
ナマズに背を向けて来た道を全速力で走り抜ける。
昔テレビか何かで熊とかに背を向けて走るのは危険と聞いたことがあるが、それはあの体格差だからこそ成立するのであって、アイツにとってアリンコみたいな俺はどっちにしようが変わらないだろう。
よって、ただひたすらにその場から離脱することだけを考えて駆ける。
時折チラッと後ろを確認してみると、ナマズは未だ停止したまま浮かび尽くしている。
……もしかして、こっちから攻撃しない限り動かない?
だとしたら物凄くありがたい。
攻撃手段として今入手した風魔法があるにはあるが、まだ入手したてで使い方が練れていなし、何より慣れてない。
それにあの巨体だと大したダメージも与えられないだろう。
今はただ幸運に感謝しながら逃げることに専念する。
◇◇◇
あのまま逃げおおせて、森から出られた。
そこから歩きながら息を整え、街に入って今に至る。
街中のベンチに腰を下ろし、一息吐く。
──そういえば、対策を練ろうと思って帰ってきたのにアイツの行動何も見てないじゃん。
……いや、何考えてんだ俺。戦わなくていいじゃん。
無視決め込めば何も起こらないし何も変わらない。
ずっととは言わないけど、もう少し現状維持でも……。
──いやいや、ちょっと臆病すぎやしないか?
たかがデカいだけのナマズだぞ?行ける行ける。
それに、せっかく現実では使えない魔法も身に付けたんだ。
そうだ、今の俺は現実とは違うんだ。
……よし、こうなったらとことんやってやる!
ひとまずの第一目標はあのナマズの討伐に決定だな。
そのためには、まずはアイツの手札を知るための偵察をしなければ。
まだ時間もありそうだし、このテンションの内に行ってしまうか。
……と、その前に。あの巨体での体当たりその他は流石に怖いので、そこら辺の露店に売ってる回復ポーションを数本買って向かうことにする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。