Day21 朝顔

 紺地に、薄いブルーのぼかしがはいっている朝顔柄の浴衣。古くさくてあんまり好きじゃなかったんだけど、うちにある浴衣はその朝顔柄ともう一枚、白地に紺色の縞模様という、どこかの旅館の寝巻きみたいなのしかなかったから選択の余地がなかったんだよね。

 だってせっかくのお祭り。好みでなくてもやっぱり浴衣で出かけたかった。

 お母さんに着せてもらって髪をアップにしたら、思ったより悪くないかなとは思ったけど。白地にピンクとブルーの牡丹柄という、一緒に出かけた友だちの浴衣のほうがずっとかわいくて、やっぱりちょっとうらやましかった。

 でも、屋台で偶然会った憧れの先輩が、キレイだねって。わたしの雰囲気にとても似合ってるって。そうほめてくれたんだ。

 我ながらチョロいなって思うけど、それまで小学校の観察日記とか地味なイメージしかなかった朝顔が、あの夏祭りの日からなんだかちょっと特別な花になったんだ。


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