Day14 お下がり

 物も人も大切にされたぶんだけ思いが宿る。その思いはやがてめぐりあう人間を守る特別な力になる。そう話すぼくの彼女はお下がりマニアだ。

 身内のお下がりだけでは満足できず、衣服も日用品もほぼすべて古着店やリサイクルショップで入手している。それ自体は悪いことではないし、彼女の持論を否定するつもりもない。


 友人の紹介で出会った、かわいらしい彼女に惹かれたのはぼく自身だ。それはまぎれもない事実だ。それなのに、このなんともいえない違和感はなんだろう。

 このまえ彼女のアルバムを見せてもらったときのことだ。ぼくはひどく驚いて、しばらく声が出なかった。彼女と一緒にぼくの元カノが写っていたのだ。

 ——この、女の子は?

 ——ああ。従姉妹いとこよ。

 ニコリとほほ笑んだ彼女に、やはりぼくはどうしようもない違和感をおぼえた。

 彼女との出会いは、ほんとうにただの偶然だったのだろうか。


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