第21話 屋上

 「はぁ〜最近良いことないな~」


僕は学校でそんな愚痴をこぼした。


「どうしたの?」


瞳が話しかけてきた。


「いや……最近本に殺されかけたり、ショッピングモールに監禁されたりしたんだ。」


「えっ!何そのアニメの主人公みたいな体験……でも杜庵に災難が降りかかるのは私の能力を奪ったせいか……」


「もうそんな事は気にすんなって、ほら!気分転換に屋上にでも行こう!」


「そうだね!行こう!」


屋上には何かヤバイ奴が居たような……気の所為か……

そうして、僕らは屋上に上がってきた。

気の所為じゃなかった……屋上には時雨彼方とかいうヤバイ奴が居た。


「ゲッ、完全に忘れてた……お前の存在を……」


「やっぱり居るんだ。もしかして屋上に住んでる?」


「うん住んでるよ。よく分かったね。」


彼方は軽々と言った。


「おい……流石に冗談だろ?」


「本当だよ。案外過ごしやすいよ。住めば都って言うでしょ?」


これには流石に瞳も引いただろうか……僕はとっくの昔にドン引きしているけどな。

僕は瞳の表情を伺った。

しかし、瞳の表情は僕の予想と180度違っていた。

瞳は瞳を輝かせていた。

瞳だけに……ヤバい、頭がおかしくなってきている。


「食べ物はどうしてるの?」


「食べ物はここにあるよ。この高校屋上にも倉庫があるんだよね〜そこにあったの。」


「なんだ?屋上から出たら殺されるのか?」


「そんな事はないけど……ここに居なきゃいけないって思うの。」


前々から思っていたがこれは想像以上にヤバイ奴だな。


「すご〜夜になったら結構冷えるでしょ?」


瞳はなんでこんなにこいつに感心してるんだ?


「まぁ、私自身が冷たいから……」


「どういう事?」


「そろそろ帰るぞ、お前までヤバイ奴になるつもりか?それに……もう時間だしな。」


「そうだね。またね~彼方さん!あっ!因みに私の名前は瞳だよ~」


名前教えてなかったのかよ。


「じゃ〜ね。杜庵と瞳〜」


僕らは屋上を出た。

はて……僕はあいつに名前を教えたっけ……

まぁ、良いかまた聞けば良い。いや、次は無いか。

でも……瞳は“またね”って言ってたな……まさかまた会うつもりなのか?僕はゴメンだぜ。

その後、僕らは通常通り授業を受け、それぞれ家に帰っていた。


 「ただいま〜」


返答はない。

おかしいな……出掛けてるのか?

僕は既視感を覚えた。


「まさか!僕はまた幻覚を見せられているのか?いや……違うなそんなタイミングはなかった。普通に出掛けてんのか。」


僕は念の為家中を探し回った。

すると、恐らく杜庵が書いたであろう日記を見つけた。


「日記?あいつ日記なんか書いてたのか……もしかしたら何処に出掛けたのか書いてるかもしれない……少し読んでみよう……」


僕は少しワクワクしながらページをめくった。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る