第5話 副作用はつらい。

 家に帰って洗濯機を止めていると、夫からすぐに「トイレ行きたい」とLIMEが入った。わたしが帰ってくるまで健気に待っていた模様。偉い。


「おお、大丈夫か夫氏」

「ごめんね大をしたくてね……」


 と腰痛でふらふらしながら立ち上がりトイレへ向かう夫。どうやら飲んでいる薬の副作用でお腹が緩くなっているらしい。


「すごいね、お腹が緩くなりますって説明されたけど、マジでそうなるんだ。ある意味、薬がよく効いている証ではあるよね」


 シュシュシュと夫の通った場所を消毒しながら感心した声をかけるも、


「それはわかるんだけど、なければないほうがいい副作用ではあるよね……」


 との夫の言葉に「だよね」としか言えない気持ちになってしまったり。まぁしかたないよね。


 洗濯物を取り込み、また新たに干し、息子に宿題をやれと命じ、娘に靴下をぬぎっぱにするなと怒り……そんなことをしているうちにもう夕食時よ。んもおお、毎日毎日なにを作ればいいんねんと思いつつ。

 今夜は鶏胸の照り焼きとオクラの煮浸しとわかめの味噌汁よ! 我が家にしてはわりと豪華よ!(へたすると一汁三菜どころか零汁一菜の我が家です)


 食べ終わって子供たちを風呂に放り込み、食器を洗い、わたしも風呂に入りトイレを済ませ。ついでに子供たちにも声をかける。


「夫氏~、熱ももう落ち着いたっぽいし、お風呂入ってきなよ」

「えっ、いいの?」

「汗拭きシートで身体拭くのもそろそろ限界でしょ? 腰痛も風呂入ればよくなるんじゃね?」

「それで良くなるとは思わないけども」


 と言いつつ数日ぶりの風呂が嬉しいらしく、すぐに寝室から出てきた夫。


「服は夫氏のだけで洗うから、脱いでそのまま洗濯機入れてくれ。バスタオルとかも使ったら入れちゃって」

「わかった~」


 ということで夫を浴室に放り込み、ドアノブほかいろいろなところを必死に消毒。


 そのあいだ子供たちは居間に閉じこもっている状態。夫に声をかける前にトイレは済ませたし、飲み物も居間に用意して、そこから出なくていいように対策済みさ。

 最初のうちは無意識に扉を開けていた息子も、この状態が三日目ともなると、不用意に扉を開けてママに怒られるということはなくなってきた。


「しかし居間とダイニングとのあいだの引き戸を閉めちゃうと、居間のエアコンの風が届かなくてマジで暑いな」


 消毒を終えたのでゴム手袋を捨てて手を洗いつつ、二重マスク下でついついため息をついてしまう。


 手をぶらぶらさせて乾かしつつ、待つこと10分弱。夫が「上がるよ~」と声をかけてきたので、再びビニール手袋を着けて外から浴室の扉を開ける。

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