夏の恋、めぐる季節。だけど新しい夏に、君はいない――

恋の連作短歌です。
三、四首目あたりで、これは過去の恋について
思い出して歌ってるんだな、と気付くはずです。

でも最後まで読むと、印象はがらりと変わります。
夏の歌が多いので、情熱的で明るい印象ですが、
決してそれだけではありません。

でも夏が好きな私としては、
「夏の理想郷」というタイトル通り、
真っ青な空、入道雲、寄せては返す波――
そうした美しい夏の風景が、恋に絡めて読まれており、
めくってもめくっても八月が出てくる写真つきカレンダーでも見ている気分で、
楽しませていただきました!

恋の歌ではありますが、今の暑い季節に、
夏をポジティブにとらえさせてくれる連作短歌をぜひ!