第3話 私の体に興味あるんでしょ!?

「ご飯、できたよー!」


両手にお皿を持ってダイニングテーブルに歩いてくる。


「ありがとうございます。」


ニコニコしながら、朱莉さんは嬉しそうにしている。


「じゃー、食べよっか。」


「いただきます。」


「うん!いっぱい食べてね!」


食べ進めているうちに、朱莉さんが俺に質問してきた。


「落ち着いたと思うから聞くけど、光莉のこと好きだった?」


「好きじゃなかったら、告白もしませんし。」


「そっか。そうだよね。」


納得した様子で朱莉さんはまたご飯を食べ始めた。

今度は俺が質問をした。


「あのー、何個か質問いいですか?」


「何個でもいいよ。」


「そもそも俺のストーカーってどう言うことですか?」


「それは言葉の通りだよ。ストーカーしてたんだよ。家も追跡したし、学校も私生活もだいたい知ってる。」


「何で僕のストーカーなんかしてるんですか?」


「んー、それはー。気になったから?かな。」


気になってストーカーなんかしない気がするが。


「でもね、ストーカーしてたおかげで海斗君が公園のベンチでやる気を失って、あのまま一夜を越すところを阻止できたよ。」


「いや、流石に夜は越しませんよ。」


そう否定はしたものの、考えてみたら、もしかしたらあのまま今も公園にいたかもしれない。


「俺、何でフラれたんだろう。」


つい口からこぼれ落ちた。

俺の一言を聞き逃さずに朱莉さんは反応する。


「フラれた理由、知りたい?」


「当たり前じゃないですか。何言ってるんすか。」


「そっか。知りたいか。」


朱莉さんが理由を知っているなら教えて欲しい。


「朱莉さんは俺がフラれた理由、知ってるんですか?」


「何で?」


「いや、俺のストーカーだし、光莉のお姉さんだし。」


「んー。知ってはいるよ。けど今言うと、また海斗君、何もやる気なくなっておかしくなっちゃうよ?」


心配して言うのを控えているのだろう。そこまでして言わないのだから、相当な理由なのだろう。


「わかりました。もし今度、機会があったら、教えてください。」


「わかったよ。」


心はまだフラれた理由を知りたい自分がいるが、その思いを押し殺した。俺はまた朱莉さんの作ったハンバーグを食べ始めた。






 俺も朱莉さんもご飯を食べ終えて、お互いソファーに座った。なんだか横に朱莉さんがいても気にならなくなってきた。


「じゃー、今日はお泊まりしようかな。」


突然朱莉さんが言い出す。


「は?」


素のリアクションが出る。


「今日ぐらいは海斗君のそばにいてあげたいんだよね。」


「何でですか?別に帰ってもらって大丈夫ですよ?」


「だってフラれて可哀想だし、癒してくれるもの、何もないでしょ?だったら一日くらいは私が海斗君のそばにいてあげようかなって。」


「別にそんなことしてもらわなくっても大丈夫なので。ほんとに。」


「またまたー!そんなこと言って!私のこと気になってるんでしょ?」


「はっ?何を言ってるんですか?」


「だってさっきから海斗君、私のことばっか見てたよ?私が料理してる時、私のこと見てたでしょ。お見通しだよー♡お姉さんにはわかってたぞー♡」


見ていたことは事実である。ただそれは朱莉さんとは初めて会ったから、少し眺めていただけ。


「いや、別になんの感情もないので。」


「海斗君、嘘はいけないよ!自分の思いを打ち明けないと!」


「と、言いますと?」


「海斗君、私の胸ばっか見てた…///」


急に朱莉さんは頬を赤く染めて、恥じらった。


「いや!それは違います!誤解です!」


「もう!私の体に興味あるんでしょ!?正直に言いなよ。ちゃんと言ってくれたら、私だってその気になったし…。何だったら私の処女だってあげたのに…。」


「ちょ、最後の方、ゴニョゴニョ言って聞こえなかったんですけど!」


「もう!!!海斗君のえっち!!!」


そう大声で言い放つと、朱莉さんは突然俺に飛びかかってきて、俺の顔に胸を押し当ててきた。


「こうして欲しいなら最初からちゃんと言いなさい!」


「!!!!!」


「私の胸ならどれだけ触ってもいいから!今日は光莉のこと忘れなさい!」


「!!!!!」


そう言って朱莉さんは俺に抱きついて離そうとしない。

朱莉さん、胸、触りたいですけど、そんなに強く抱きついたら、触る前に死にます。



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