第2話 視線を感じる

俺は、終業式が終わってさっさと学校を後にした。


午後には、夏期講習が始まる。


学校でのんびりしている時間なんかない。


昼飯は、ファーストフードかな。


ゼミの前には、ちょうどファーストフード店がある。


勉強しながら摂るとしよう。


俺は、学校から速足でゼミへの道を歩いていく。


ん?なんか視線を感じる気がする。


俺は、振り返る。


でも、そこには何もいなかった。


首を傾げながら、向き直り歩き始める。


でも、やっぱり後頭部に視線を感じる。


気持ち悪いな。


なんだろう?


学校からずっとな気がするんだけど。


それから、30分。


俺は、視線を感じながら駅前にあるファーストフード店に辿り着いた。


注文は、スマホから事前に頼んでおいたのでカウンターでハンバーガーのセットを受け取って席に着いた。


「はぁあ」


俺は、溜息を吐いた。


なぜなら、俺の着いた席に後から来て相席を無断でしてきた者がいたから。


「なんの用かな?阿藤さん」


俺の前には、学校の『高嶺の花』阿藤 雫が座っていた。


学校から俺を付けてきていたのは彼女だったのだろう。


「私、屋上で待ってますって手紙送りましたけど」

「らしいね、まあ俺にはそんなとこに行く時間はないからいかなかったけどね」

「はぁあ、貴方って人は。だから、今ここに私がいるんですよ」


学校での無口な彼女はいない。


俺をジト目で見てくる。


俺には、そんな趣味はないんだが。


「どうせ、来ないと思って後を付いてきました」


どうやら、俺の行動は読まれていたようだ。


めんどくさいな。


これでは、勉強ができないじゃないか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る