翌日、近くの民宿で遅めの朝食をとっていた石川と陣内の所に、待っていられないとばかりに天草が現れた。

「おはようございます。石川さん、陣内さん。昨夜はゆっくり寝られましたか?」

 そんな事を言いながらも、天草が聞きたいのは事件の事なのは分かりきっていた。

「おお、久しぶりに良く眠れたな! でも、陣内は悶々としていたようだがな!」

「ちょっと、変なこと言わないで下さいよ! 相手は高校生ですよ。犯罪ですから」

 焦る陣内を楽しみながらも、石川は言葉を足した。

「ちゃんとご両親に引き渡して来いよ。そこまでがお前の役目だ!」

「はい、了解です!」

 真面目な顔で陣内はそう答えた。


「あの……昨日の事件なんですが、何で監禁場所をあの病院だと特定出来たんですか?」

 待ちきれず、天草は朝食の席に自分も着いて質問を始める。石川は食べながらだが、それに一つづつ丁寧に答えていった。

「初めは、陣内と連絡を取り合っていた娘の目的地だったから、とりあえず安否を確かめようと思ったんだが……」

「失踪した二名の最後の位置情報もその近辺だと、本部から連絡があったんですよね」

 その時、連絡を受けた陣内が話を引き継いだ。

「ああ、それでビンゴだと思ったんだ」

 美味しそうに味噌汁をすすりながら石川が言った。

「最初は湖畔で位置情報が途切れたかと思っていたんですけど……」

 スマホを持ったまま沈められたなら、そうなっていたはずだった。しかし、結果は違った。

「その前に監禁されたんだ! その後、電源を切られた状態で湖に捨てられた……」

 最後に味噌汁を美味しそうに飲み終わった石川がさらに詳しく話を始めた。

「スマホの位置情報と言っても、GPSの様に正確じゃあない。基地局が特定出来るぐらいの大雑把なものなんだそうだ」

「でも、その範囲にある施設は、北の森病院だけなんです」

 陣内も食べ終わって話に加わる。


「ただ、何処に監禁されているかは最初分からなかったが……」

「この病院で電波の届かない場所は限られます」

「そう言うこった。レントゲン室、倉庫、地下室」

 石川は指を折りながら説明する。

「この中で監禁場所に出来るのは、地下室ぐらいだろうよ!」

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