第4話盗人

ガラ!

「…!」

 勢い良く扉を開く音が聞こえた、布団から飛び起き、音の聞こえた方を見る

 音は襖ではなく、窓の方から聞こえた。

 窓の方に向き、音の正体を見る。

 月明かりに照らされ、般若の仮面を被った黒装束の人間が窓枠に蹲踞して、こちらを見ながら止まっている。

(こいつが盗っ人か…)

 そう確信する瞬間には、盗っ人は後ろに跳ぶ為に僅かに屈む。

「待て!!」

 布団から飛び出し、窓から逃げ出す前に捕らえようと手を伸ばす。

 しかし、こちらが追い付くより先に、向こうの方が早く、窓から飛び出した。


 と思いきや…

 窓から何かをぶつけた様な鈍い音が響く

「あいだ!?」

 どうやら、跳ぼうとして足を伸ばした際に謝って窓枠に頭をぶつけたらしい。

 アホだ。

 その隙を逃すまいと距離を詰め、捕まえようと手を伸ばす。

 この距離なら流石に間に合う、間抜けな奴で助かった。

「あ!わわ!待ってー!」

 ツルッ

「あっ…」

「え…?」

 向こうは相当焦ったのだろう、不安定な体制から無理に飛ぼうとしたせいで、足を滑らせ、何故かこちらの方に倒れてくる。

「おい、ちょっ…!」

 ガチィン!

 またまた鈍い音をたて、今度はお互いの額を仮面越しにぶつけ合う。

「っ〜!!」

 辰之助が声にならない叫びをあげ、額を抑える。

「お前…このやろ…!」

 怒ろうと顔を上げた瞬間、辰之助が見たのは

「え?」

 仮面が割れてうつ伏せの状態で、窓から下半身が干物の様にぶら下がって気絶している盗っ人の姿だった。

「…うぅ〜…」

 情けない声をだしながら、完全にノびてしまっている

「……えーと…よっしゃー…?」

 誰が聞いているでもないが、変な気まずさに耐えきれず、小声で適当に言葉を出す。

 声と言えば、気になったことがある

 こいつの声、明らかに男ではなかった。

(まさか…女か…?)

 疑問はあるが、今はこの状況をどうにかしないといけない。

 少し頭を抱えながら、盗っ人を自分の部屋に引き込んだ。

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