第3話 キッカケの出来事3

はるかは元々身体が弱く、体調次第ではご飯やお酒を摂ると発熱してしまい動けなくなってしまう。

なので、はるかが食べる物などは気を遣う必要があり、料理が得意な僕が家ではご飯を作り身体や体調を管理することが普通だった。




「ゆうま、今日仕事でけいすけさんが東京に来るんだってー」


「あっそうなんだー」


「でね、共通のゲーム友達とあわせて3人でご飯のお誘いをされているんだけど…」


「あーいいじゃん。折角なんだし滅多にない機会なんだからご飯してきー」


「えへへ。ありがとう〜行ってくるね」

とても嬉しそうなはるか。


以前に一度会ったことがあったから何も気にせずにそうかえした。



当日。

仕事を終えたはるかが居酒屋に向かった。


けいすけは品川で宿泊予定となっているらしく、品川で飲むとの連絡はもらっていた。

今日は金曜日、おそらく夜遅くまで飲んでくると思っていた僕は家で晩酌をしながら自分タイムを満喫。


楽しい自分の1人時間を堪能しながらハイボールを飲む。

「プハッ〜〜〜〜〜」

旨すぎる。

おつまみは唐揚げに焼き鳥、モッツァレラチーズにキムチ。

完璧な布陣を揃え、YouTubeで好きなホラー動画を見る。


「最高だぁ」

こんな時間がずっとほしい。そんなことを思いながら晩酌。


あっという間だ。

時間を見ると24時を過ぎている。

はるかから連絡はない。


「ん…」

「終電なくなっちゃうけど、どーだ?まだ飲んでいるん?」

LINEでそうメッセージを一応する。


はるかはB型なのでマイペース。

既読なんて気分屋なところもあったから、どうせかなり時間がかかるだろうと踏んでいた。


案の定連絡がきたのは1時間後。

LINEのメッセージではなく電話がきた。


プルルルルっ ガチャ


「はるか大丈夫かー?連絡なかったけどまだ飲んでるん?」

なんだかんだ心配もあった僕が聞く。


「うん…盛り上がっていてその場の空気を壊したくなかったから付き合ってしまって。少し前に飲み会は終わったところなんだよ」

「けど、やっぱり少し熱出てきちゃって。。。」


「えっ?大丈夫なん?」

やっぱりか。

過去にもたくさん経験があったから特に驚かずにかえした。

「帰ってこれそうなん?」


「ごめん…ちょっと動けなくて。。」


「まじか…」


「…でね、けいすけさんが…」

けいすけも、はるかの身体のことは知っていた。

熱が出やすい体質なことも、それで動けなくなってしまうことも。


「本当に申し訳ないって言ってて、凄い焦ってるの」

はるかから聞いていたものの、初めて見る目の前のはるかの体調を見てびっくりしてしまったよう。


「でね、少し休めば大丈夫だからって言ったんだけど…」


「うん」


「けいすけさんが、ホテルの別室を用意してくれてたみたいで」

「そこで休んでいきなって」

実はけいすけは体調が悪くなることも考えて、はるかに事前に言わずに自分が宿泊するホテルの別室を予約していた。


「えっ??」

びっくりして聞きかえす。


「心配かけちゃってるし、わざわざ用意してくれたらか無下むげにもできないし」

と、はるかが言う。


「…」

「タクシーで帰ってこれそうもないの?」

聞き返す。


「…ちょっと動けそうになくて。。だからごめん、お言葉に甘えようと思うんだけど。。いいかな」


「…」

「…動けないんでしょ、、そっか」

普通に考えてこんなことってある?

と、率直に思った。


「ごめんね…」


「わかったから熱治ったりしたらすぐに連絡して」

そう返答してしまった。本当はすぐにタクシーで帰っておいでと言いたかったし、むしろ迎えに行くことも考えていたが口に出せなかった。

なぜなら、はるかがけいすけの用意を無下にできないと言ったことに、自分の気持ちではなくはるかの気持ちを優先してしまったから。


「わかった…ごめんね心配かけて」



ガチャ。

電話がきれた。



冷静に色々おかしい。

確かに体調が悪く動けなくなっているとは思う。


けど、それを見越してホテルの別室を事前に用意してるってどうゆうことだろう?

飲んでいる場所が地方でタクシーで帰ると3時間くらいかかるようなところだったらまだ百歩譲ってわかる。

けど、場所は都内。

タクシーでも30分くらいで帰れる距離。

普通だったら、タクシー代を渡して帰すとかじゃない?

そうしなかったのはなぜ?


そもそも、事前にホテルの別室を取っているってなぜ?



これが、僕の中ではるかに対して気持ちの変化が生まれた1つの出来事だった。



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