栗色の恋慕情

make(メイク)

第一章 いきなりモデルデビュー⁉︎

第1話 モデルってあのモデル?

 私、白澤憂希美しらさわゆきみはお休みの真っ只中。

 用事があって一人で買い物に出かけていたら突然、ブロンドヘアーのお姉さんにお姉さんと声をかけられた。


「ねえそこのお姉さん」

「……」

「あなたよ」

「わ、私ですか?」

「そうよ。ちょっといいかしら」

「はあ」


 髪の色は派手だがスーツをピシッと着こなし、いかにも出来る女、といった雰囲気だ。


「あなた、雑誌に載ってみたくない?」

「はえっ⁉︎私がですか?」

「私こういうものなんだけどね」


 そういうと彼女は名刺を取り出し渡してきた。

 赤輪あかわプロモーション… 槙野奈緒まきのなお。そう書かれている。


「あの…これって?」

「槙野奈緒よ。奈緒って呼んでね」

「じゃなくて!なんですか?これ」

「赤輪プロモーション。聞いたことないかしら?」

「えーっと…あるような、ないような」

「単刀直入に言うと、あなた、モデルにならないかしら?」

「モデルってあのモデルですか?」

「あのモデルよ」

「す、スカウトってことですか?」

「そうとも言うわね」

「今時道端の人に声かけるなんてあるんですね…」

「スカウトはこの辺じゃ禁止されているわ」

「ダメじゃないですか!」


 なんだろうこの人… 胡散臭うさんくさい。


「あなたに声をかけたのは偶然よ。私は芸能事務所のスタッフ。そしてあなたはとても素質のあるモデル。声をかけなきゃいけない気がしたの。あなたに光るものを見つけたから」


 ホントに胡散臭い。

 ていうかモデルって、撮られるんだよね。

 もしかしたら…


『この写真をばら撒かれたくなかったら今すぐ百万円用意しなさい』

『ひえ〜!』


 ってなことに…⁉︎


「ごめんなさい‼︎」

「え?」

「お願いです見逃してください!穏便おんびんに…穏便に済ませてくださいな〜〜…お金は持ってないんです…」

「なんの心配をしてるか知らないけど、大丈夫よ。私に任せて。あなたは絶対に輝ける‼︎行くわよ」

「え?ちょっ⁉︎ま、槙野さん⁉︎」


 そう言われて槙野さんに(無理やり)連れて来られたのが赤輪プロモーション事務所。

 こうやって私は借金を背負わされて惨めに散っていくんだ…。

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