第3話 健太、大好き!

 と、まぁこんな感じで付き合い始めたわけなのだが、心美は学校では相変わらずの塩対応。なので友達という友達もいないので、付き合ったとかいう噂も一切流れない。


今までも心美と一緒に帰っていたので、いつも通りという感じで冷ややかな目でみいられるだけで済んだ。


付き合い始めてから心美は学校帰りに俺の家に必ず寄ってくる。


これも家が近いからできることなのだろう。


俺たちは家に一緒にいても、告白された時のように襲われたりはしない。


何んなら心美のその容姿といい、何といいで、俺が心美を襲わないように気持ちを落ち着かせるのが精一杯だった。






そんな生活も、もう一ヶ月が経とうとしていた。


明後日は日曜日、ちょうど一ヶ月記念日なのだ。これはなかなかに偶然だなぁ、と心の中で自分の運にびっくりしている。


俺は今日の放課後にショッピングモールにでも行って、プレゼントを買おうと思った。






案の定、今日は心美が一緒に帰れないと連絡が来たのでちょうどいい。

一人で買いに行くとしよう。


そう言ってショッピングモールに来たはいいが、プレゼントは何がいいかなんか俺には一つも分からない。映画で贈り物をしているのを見たくらい。


心美に渡すプレゼントなのだから、写真オタクの心美にはカメラ関係の道具がいいかな?と思い電化製品を見に行くも、値段が変えるようなものじゃないので諦めた。心美がつけていて似合うアクセサリーを買うのは?と思いアクセサリー屋に行ってみた。リーズナブルな価格ではあるものの俺のセンスが問われるという問題に直面。ここは一か八かで俺のセンスを信じるしかないのかなぁ。


あんなこんな悩んだ挙げ句、俺はネックレスを渡すことにした。

別に高くも何ともないが、一応自分の思う心美に似合う綺麗なネックレスを買った。


プレゼント用に包装もしてもらって。


これを渡そうと決め、俺は家に帰ることにした。








当日、一ヶ月記念日だ。

俺たちはどこかに遊びに行くわけではなく、俺の家で過ごすことにした。

何故か朝から地味に緊張していて恥ずかしい。



ピンポーン



家のインターホンが鳴って、俺は玄関まで行きドアの鍵を開ける。


するとガチャと扉をあけて心美が入ってきた。


「こんにちは!健太!一昨日は一緒に帰れなくてごめんね。昨日も直接会ってないから、だいぶお久しぶりだね。」

「とは言っても一日間だけだけどな、会ってないの。」


ぷぇ〜、と心美は寂しそうに家にあがってくる。

その顔すらも愛しいんですよ。


俺らはリビングに向かった。

もう心美が家にいることには慣れたもの。

自分で飲み物も取ったりと、特に俺が何かをするわけでもないが普通に心美は好きなように過ごしている。


俺はプレゼントを渡すまでの流れを作るために、どうやって話を切り出そうかある程度考えていた。


「心美、アイスでも食べないか?」

「えっ?アイスなんてあるの?」


もちろんこのアイスは今回のために買っておいたもの。いつもはない。


「買ったからさ。食べよ?」

「食べる〜!」


俺は冷凍庫から持ってきたアイスを渡すと、ニコニコしながら開封する。

子供すぎる、けどそれも可愛い、と心美の仕草に心をやられていた。


「ほらぁ、健太も座って食べようよ。」

「あぁ、そうだな。」


俺たちはソファーに座りながらアイスを食べる。

横には美味しそうにアイスを食べる心美。


俺は何事もないかのように話を振る。


「心美、気づいてるか?」


「ん〜?」


「今日、一ヶ月記念日なの。」


「知ってるよー。」


どうやら心美はわかっていたらしい。

当たり前じゃん、みたいな雰囲気で言われてしまった。

俺はもうどうしようもなく、プレゼンントのことを切り出すことにした。



「「あの、、、」」



俺が話そうとした瞬間、心美も口を開いた。


「あっ、いいよ。健太から話して?」


「いいか?」


「うん。」


「じゃー、ちょっと待ってて。」


俺は自分の部屋にプレゼントを取りに行った。

そして俺が紙袋を持ってくると、心美は少し驚いた顔をした。


「心美、一ヶ月間ありがとう。これからもこんな俺だけどよろしくな。」


「ふぇっ!け、健太もこういうサプライズできるんだ。」


「なんか馬鹿にされてた?」


「いや、そういうわけじゃないけど。」


「開けてみて。」


「うん。」


そう言って心美が袋から取り出し、プレゼント用にラッピングされたものから取り出すと、それは紫色のジェムのついたネックレス。

本物の宝石ではないだろうけど、まあまあいい値段のしたネックレスだった。


「うわぁー!」


心美は目を輝かせながらそのネックレスを見つめた。


「こんなのもらっていいの!?」


「まぁいつもの感謝も込めてだから。俺はこれが一番心美に似合うと思ったから。気に入ってくれたなら嬉しい。」


「気にいるなんてレベルじゃないよ!健太からの初めての贈り物だよ!?こんなのも私の宝じゃん!!!」


「そんな喜んでくれるのか。」


「当たり前じゃん!ありがとぉ〜!健太、大好き!」


心美は収まりきらない愛を爆発させて、俺に飛びついてきた。


「こうやってギューするだけでも立派な贈り物になるのに、こんな可愛いネックレス。嬉しい。」


「そんなに喜んでくれるなんて思わなかった。」


「いや喜ぶよ!もうほんと大切にするし、デートの時だけつける。」


「うん、じゃーそうして。」


「うん、そうする。」


と言ってまだギューしている心美。


「心美、さすがにもう離れて?」


「うん。じゃ、私からも贈り物があるんだけど、見てくれる?」


「えっ?心美から?それは気になる。」


「えへへ。ちょっと待って。」


すると心美は肩掛けバックからゴソゴソと何かを取り出し、俺に渡す。


「はい!これ、プレゼント。」


心美は二つの袋に入ったものをくれた。












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