第17話 美少女戦士セーラーエルフ! 白神山地に代わってお仕置きよ!

 近所の子供たちとアミーリアがバトルマンガごっこをするところは、何度配信しても人気があった。

 なにせ本物なので、映画にはない生の迫力がある。

 戦うたびにアミーリアが強くなっていくのも視聴者にウケているらしい。

 最初は鬼殺隊と亀仙流の真似をした小学生二人に振り回されていた。

 それが二週間が経った今は、プリキュアやら仮面ライダーやらポケモンマスターやらが参戦してカオスなことになっても、アミーリアは鼻歌交じりに相手できるようになった。


「くそぉ、塔の魔女め……ヒーロー連合軍をここまで苦しめるとはやるな……」


「ふふふ。子供に負ける私ではありません」


「けれど今日は強力な助っ人を呼んだぜ!」


「何人増えても同じですよ……え! 助っ人ってシルヴァナさんですか!?」


「美少女戦士セーラーエルフ! 白神山地に代わってお仕置きよ!」


〝おばあちゃん!〟

〝ちゃんとセーラー服着てるww〟

〝しかもツインテールだ!〟

〝いける。この四百歳なら全然いける〟

〝ババア結婚してくれ〟


「うわぁ……ばあちゃん、なにしてんだよ……ま、コメントが盛り上がってるからいいか」


「エルフ・ティアラ・ブーメラン!」


〝ただのカチューシャをティアラ扱いは草〟

〝カチューシャがメッチャ光って飛んでいった!〟

〝つーか巨大化してね?〟


「あれは百均で買ったカチューシャですね。多分、ばあちゃんの魔力でもう蒸発してます。今、光りながらくるくる回ってるのは魔力の塊です。ティアラっぽいのを投げて格好つけたかったんでしょう」


〝もはやティアラでもなければブーメランでもないじゃん〟

〝ばあちゃん面白すぎる〟

〝光のリングがアミーリアたんに襲い掛かる!〟

〝光がアミーリアたんの腕と胴体を縛った!〟


「か、硬い……! どんなに力を込めても抜け出せないし……術式を分解……できない!? こんなシンプルな魔法なのに何重にプロテクトを施してるんですか!」


「何事も本気でやらなきゃ楽しめないのよ~~。さてー、お前も蝋人形……じゃなかった、アミーリアさんもセーラー戦士にしてあげるわね~~」


「え、私にもその服を着せるつもりなんですか!? やめてください! この世界に来てからマンガとかアニメ見たから知ってますよ。それって十代の若い子が通う学校の制服ですよね。私は三百歳ですよ! いくらなんでも!」


「なに言ってるの。私なんか四百歳よ」


「そうですけど、けど私は嫌です! というかスカート短すぎますよ!」


「近頃の若い子はこのくらい普通よ」


「私たち、近頃の若い子じゃありませんよね!?」


「いいから、いいから。こっちに来なさ~~い」


「ああああ! タクトさん助けてくださああああいっ!」


〝アミーリアたん引きずられていったw〟

〝いずこへ?〟

〝次に会うときはアミーリアたんも立派なセーラー戦士ですね〟

〝絶対かわいい〟

〝生きててよかった……〟

〝拓斗さんもそう思うだろ?〟


「……まあ、似合わないわけはないですよね」


〝お、割と楽しみにしてる顔w〟

〝むっつりスケベか〟

〝拓斗さん高校生だったとき制服女子とデートした?〟

〝してるわけないだろ。拓斗さんの恋愛話は悲惨の一言だ〟

〝でもアミーリアたんに制服着せてデートすれば夢が叶うよ〟


「うるせぇ。いつ俺の夢が制服女子とデートすることになったんだよ。ま……してみたいけど」


〝正直でよろしい〟

〝最近、アミーリアたんだけじゃなくて拓斗さんも可愛い気がしてきた〟

〝は? 拓斗さんは最初から一貫して可愛いが?〟


「なあなあ。拓斗兄ちゃんはむっつりスケベなんか?」


「むっつりスケベってなーに?」


「スケベなことに興味ないって言ってるくせに実際はすげぇスケベな奴のことだぜ」


「へえ。拓斗兄ちゃんってそうなんだぁ」


〝子供たちw〟

〝そうか、スマホから俺らのコメント見れるのか〟

〝青森の子供もスマホ持ってるんだな……〟


「むっつりスケベじゃねーよ! 俺はスケベかもしれないけど、むっつりじゃねーよ! 俺は割とオープンにスケベのつもりだよ!」


「わー、拓斗兄ちゃんが怒ったー」


「逃げろー」


〝大声でスケベ宣言w〟

〝拓斗さん、この動画、全世界の人が見てるんですよ〟

〝具体的にどういうスケベが好き?〟

〝そりゃやっぱアミーリアたんみたいな、ちょっと年上とのスケベだろ〟

〝ちょっと年上(三百歳)〟

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