第2話 異世界転生

 目が覚めた時、眩い光が流れ込んできた。何だ。状況がよく呑み込めない。


 そこは部屋だ。しかし、これまで自分が引きこもっていた部屋とは違う。木造の、どこかの小屋のような場所だ。


 窓からは光が差してきている。


 よくわからない。俺はどうなった。


 姿鏡がある。自分の姿を確認すると、愕然とした。


 黒い服に身を包んだ俺は長身のイケメンになっていた。前世でのだらしない体をした無職とは違う。


 とりあえず、外に出てみるか。


 黒い外套を着込み、黒い中折れ帽をかぶり、ブーツを履いて外に出る。まるで自分は別人になってしまった。


 宿屋の入り口から外に出る。そこには驚きの光景が広がっていた。


 中世ヨーロッパ風の街並み。冒険者や商人や農民が往来を行き来していた。


「なんだ、ここは」


 俺には理解が追い付かない。


 これは、ひょっとして異世界転生では?


 道行く人々がチラチラと俺の方を見てくる。それもそのはず、彼らの服装にしてみたら、黒づくめの俺は異質に映るだろう。


 それでも、その世界を見回してみると腰に剣を差した甲冑の冒険者などがいて、本当に異世界なんだと思い知らされた。


「お兄さん、リンゴ買わないかい、リンゴ!」


「え?」


 不意に市場のおっちゃんに話しかけられてしまった。前世の名残であまりうまく対応できない。


「今、お金が……」


 そう言ってポケットを探ってみる。すると何かが入っている。銅貨が数枚出てきた。


「一つ、下さい」


「あいよ」


 銅貨を1枚差し出す。それと引き換えにリンゴが手に入った。

 それを頬張りながら道行く人々を眺める。


 こういう時って、どうするんだっけ。とりあえず、言葉は通じるし文字は読める。


 冒険者ギルドへ行ってみるか、と漠然と考えた。


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