Part4 : キミと二人きりのお泊まり会。その1

 ——ピンポン。


 間延びしたインターフォンが鳴り響く。


 キミはドアを開けた。


「……あ。……ふふっ。おはよ♪」


「今日も相変わらず暑いね〜、日陰と日向でものすごく温度差を感じるよ〜」


「……ん? どちらかと言うと『こんにちは』じゃないかって?」


「あー、そうだよね。どうしても職員室の挨拶が抜けなくって。ごめんね、分かりにくいよね」


「……え? なんか大人っぽい? 」


「……もう、当たり前でしょ? だって私、キミの先生なんだから」


「それに、歳だってキミよりも……って、わぁ! 頭撫でちゃダメ!」


「もぉ〜! せっかくセットしてきたのにぃ〜!」


「……可愛いからつい? そ、それでもダメなの!」


「もぉ〜、本当にキミは……」


「いい? 女性にとって前髪は命なんだから! キミだって嫌でしょ? せっかく綺麗に盛りつけたプリン、いきなり一口で食べられちゃったら」


「……な、なにその目。流石の私だって一口じゃ食べないよ!?」


「流石に二口以上はかかるもん……」


「……っ! いや、そうじゃなくて!」


「今度からこう言うの禁止! ……え? 一声かければ大丈夫かって?」


「それでもだめ! もう……まったく……」


「可愛いって思ってもらえたのは嬉しいけど……しっかりセットしてきたのに……」


「……え? そ、そんな……ちょっと待って……」


「……いきなりそうなこと言うの……卑怯、だから……」


「……今度から、そうやっていきなり口説くのもなしだから……」


「……なんでって……それは……」


「……」


「……恥ずかしくて、キミの顔……しっかり見れないから」


「……」


「と、とにかく! 今日一日……って、あれ? どうしてキミ、顔真っ赤なの?」


「って、ちょっと! もぉ〜! なんで閉めようとするの!」


「はぁ……全く、キミは時々変になるんだから……」


「ふふふっ。ね、キミはもうお昼ご飯食べた? まだ食べてない?」


「そっか、それじゃ……」


「一緒に作って、食べよっか♪」



 

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