第12話 ギャル of ギャル



「佐々木ぃ~、みんなぁ、おっひさ~~~~~」


 クソ気分が悪い。

 なんだこの話の通じなさそうな人種は。

 バッチバチのツケマにやりすぎなくらいのアイメイク。

 金色の髪は緩く巻かれ、何色かもうよくわからんハイライトが入れられている。

 最近またよく見るようになったルーズソックスに、腰で巻いたカーディガン。

 ズバリ言おう。





 これは『ギャル』である。



 This is gyaru.


 ギャルのつづり知らんけど、ギャルである。

 とまぁ、冗談は置いといて。


 舘坂雅たてさかみやび。

 阿久津や太一と同じく、俺の昔馴染みだ。



「舘坂。久しぶりだなぁ」


 合流した太一が笑みを浮かべる。


「クソ女ぁ、お前、まだそんな格好してんのか? 目に毒だ、消え去れ」


 下品な顔の阿久津が中指を立てる。


「たいちっち、あいかわらずイケメンちゃんで安心~~~☆ ………阿久津は死ね」


「お前が死ね! ブス!!!」


「んだと!? 顔がキメェンだよ、チビが!!!」


 こいつら相変わらずやな。

 阿久津と雅は昔から犬猿の仲だった。

 何と言うか……波長が合わないんだろう。

 理由はないけど気にくわない、みたいな。

 完全に同族嫌悪的な所はあるんだけどね……。


「……なんか懐かしいな、佐々木」


「俺はもう御免被りたい」


 馬鹿の相手は太一だけでいい。

 もう二つほど馬鹿を増やしてよかったのだろうか。


「みんなで集まって懐かしいけどさぁ、佐々木ぃ」


「ん、何?」


「あたし呼ぶってことはぁ、いろいろやっているのぉ?」


「…………今度は、俺が嵌められたんだよ」


「なるほどねぇ。……女の子?」


 コクリと頷く。


「へぇ………、かわいそうだねぇ」


「だろ? 佐々木も苦労してるんだよ」


「たいちっち、違うよぉ~~~。あたしが言っているのは嵌めた方の話ぃ」


「「「???」」」




「――――――その子、もう外歩けなくなるよぉ」




 俺をどんな人間と思っとんねん。

 いや、まぁでも。

 確かに、社会的に殺すことは最初から考えているが、まだが否めない。


『学園のマドンナの裏の顔』では足りない。

 圧倒的に足りない。






 俺は、では満足しない。



 もっと決定的な。


 俺が欲しいのはもっと――――。





「うわ、佐々木笑っているぜ」


「人殴っているときの阿久津よりも邪悪だよね。佐々木の顔って」


「佐々木ぃ、怖いぃ~~~~~」




 おっと、いかんいかん。



「雅」



「はぁい。今度はどの女を壊せばいいのぉ?」






「今度は3人頼む」





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