のこぎりドラゴンと導関数のシミ

たらこはたらこ

序章 謝辞

『私は自殺するには利己的すぎるから』

 この言葉を健全な一般人はどう思うだろうか。自分には関係のない話だとすぐに別の話題に移る人。自殺というセンシティブな話題に黙秘を決め込む人。自殺する勇気がないだけだろと揶揄する人。この言葉すらも届かずに黙って死にゆく人。

 少なくとも僕はこの言葉に一時的にではあるが救われた。自殺する理由ばかり探していた僕に自殺しない理由を与えてくれた。同時に、自殺できない僕に自殺する望みを見せてくれた。右も左も見えないこの人生にむやみに光を照らすのではなく、暗闇でも良いと思わせてくれた。決断を先延ばしにさせてくれた。僕が僕であるままに生きてそして死ぬことを許してくれた。ミキさんには最大限のお礼が言いたい。

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