くるい道

碧野葉菜

プロローグ

プロローグ

 皆さまこんにちは。

 ここには時計がないので、正確な時間がわかりません。けれど朝食を取ってしばらく経ちますので、こちらの言葉を挨拶に選びました。

 文字を綴るのは久しぶりです。ずいぶん前に手紙を書いて以来でしょうか。このような状況にでもならない限り、筆を取ろうなどと思いもしなかったでしょう。

 できれば小説と呼ばれる物語として、読みやすく書けたらいいのですが、専門的な知識がないのでなにから始めればいいのかわかりません。


 え、まずは自己紹介から?

 これは失礼しました。けれど、わたしは昔から自己表現が苦手でして。ひとに指導する立場でありながらお恥ずかしい限りです。

 なのでこの書記……なに、そんな堅苦しいものではありません、日記のようなものです。

 こちらをご覧いただいて、わたしがどういう人間なのか知っていただければと思います。

 そもそも自己紹介ほど信用できないものはありません。

 自分を第三者として見つめるなど至難の技。誰でも自身については、必ず過大、過小の評価が入るものですから。その時の気持ち、選択、行動、あるがままを見ていただいてこそです。

 振り返り、想いを馳せるとしましょう。

 わたしの人生において、最も重要な役を担ってくれた、駿河するが隆之介りゅうのすけについて。


 これがホラーなのか、ミステリーなのか、愛の惨劇か、はたまた喜劇か、読者さまの思考にお任せしましょう。

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