現状を

 さて、まずは現状把握だ。

 メモを見ながら考える。

 もらったチートは5つ。

 

 ・異世界者基本セット(言語理解、鑑定、収納)

 ・ダンジョン魔法

 ・魔法具作成

 ・モンスター使役

 ・身体強化


 まず基本セットの言語理解。相手がいないと話せないのでパス。次。

 鑑定か。収納と並んで異世界物の定番中の定番だな。

 まずは足元の石を拾う。

「『鑑定』!」

 と叫びながら石を睨む。

『石』と心に出てくる。

 いや石なのはわかるよ。こう、武器として扱うと攻撃力がどうとか、何かの加工に使えるとか、そうでなくても玄武岩とか花崗岩とかそんなのは出ないのかよ。

 そう思いながら何度か石に『鑑定』をかけても『石』としか表示されない。

 まあ名前はわかるみたいだしいいか、と思い、石を捨てようとしたときにふと身体強化に思い至る。

 石、全力で投げてみるか。

 川を挟んだ先に生えている木に、野球のピッチャーさながらにワインドアップ投法で全力で投げてみる。

 高校の頃に体育の授業で投げた時よりも圧倒的に速いスピードで対岸の木の幹に命中し、石が少し木にめり込む。そのまま2秒ほどしてぽろっと下に落ちる。

「すげぇな身体強化」

 他の身体機能も期待できそうだ。


「次は『収納』か」

 他の石を拾いあげ、『収納!』と石を睨むと、手から石が消える。

 よしよし、予想通り。

 その後念じるとパッと手元に出てくる。収納にも取り出しにも発声はいらないようだ。

 時間経過に関してはまた今度調べよう。


 『ダンジョン魔法』と考え出すと、項目がずらずらと出てきているようなのだが、確認できるのは『ダンジョン設置』しかないようだ。

 試しに選んでみると、シミュレーション系のゲームにありがちな、下に続く階段のビジュアルが視界に表示され、設置可能な場所になると周囲が緑色、設置できないところは赤で表示される。実に分かりやすい。

 拠点の場所をあんまり適当に決めると後が怖そうなんで、設置できそうなことさえ分かればいい。

 

 次、『魔法具作成』か。

 これまでと同じように念じると、『材料がありません』と表示される。

 材料集めからしなくてはならんようだ。面倒くさいな。どんなものが材料になるのかもわからんし、今は何もできなさそうだ。


 最後に『モンスター使役』か。視界に何もいないしなぁ、と思いながら念じると、林の奥のほうに何やら反応がある。使役できるモンスターだろうか。

 一通り最低限の確認は終わったし行ってみるか。

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