第22話 官能と洗脳

店の奥の方で本を読みながら、時折僕に微笑みかける

柔らかい笑顔にいつまでも見惚れてしまいそうだが、そんな暇は僕にはない


この店は、宗教的な本や官能小説の類いが多く、確かに子供向けとはいえないが

実に興味をそそられる本が数多くある

僕は、静と男の物語を一通り読み終えた後

今度は、宗教のノウハウについて書かれた本を読むことにした




私は、信者たちに信じてもらうには、洗脳が一番だと思う

しかし、ここで言う洗脳とは、人騙しのためにするのではない

神を神として、素直に受け入れてもらうための道を作ることである

その道の名を、“救いの道”とでもしておこう

まずは、共通の敵を作る

それにより一体感が生まれ

さらに、自分がその敵を倒すことにより

自分に対する尊敬と感謝の念を信者たちに生まれさせる

そして罪悪感を抱かせることも大事だ

君達のためにやったのだと印象付けることにより

一種の服従関係を作ることが出来る

そして、最後に秘密を共有すること

共通の秘密を持つ事でより親密な……




とても攻めた内容だったが、僕の漠然とした計画にかなり近づいた気がした

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