第17話 後悔に勝るもの

僕の中で後悔の念と好奇心が同時に生まれた

しかし、好奇心が勝っているのだろう

足は歩みを止めない

何歩か進むと、花魁風の女が僕に気づき近付いてきた

「あら、ちょいとお兄さん見ない顔だね」

と花魁口調で女が言った


「すみません、本屋を探していたら、道に迷ってしまって」

僕は嘘でも本当でもないことを、うつむきながら言う

「本屋?ハハ変わったお兄さんだね、こんなところに本屋探しかい?」

「はい……」

からかわれている僕を見ながら、少し離れた場所でチンドン屋の人達が

奇妙な高い声で笑っている

「あたいの店よってくかい?」

花魁風の女はもといた場所を指差した

指差した先は、年期の入った看板が掲げてある意味深な古い小屋


いつの時代に建てられたかは不明だが

外観だけでいえば、時代劇に出てくる遊郭の用な風貌だった


僕はどうしていいか分からず、ただ下を見て黙っていると

「にいちゃん!本屋ならあるよ」

と、がまあぶら売りのおじいさんが僕に声をかけてくれた


それを側で聞いていた花魁風の女は目を丸くする

「あそこは子供が行くような場所じゃないだろ?」


がまあぶら売りのおじいさんは花魁風の女を無視して

僕を見ながら続ける

「君の求める物が何かは分からんが、きっと人生に色を出してくれると思うぞ」

「その本屋はどこにありますか?」

僕は"色"という言葉に反応してしまったのか

考えるより先に口が動いていた

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