第7話 許容量

僕の胸は踊っていた

朝の風がいつもより心地よく感じる

学校に行くのが楽しみと思ったのはいつ以来だろう

僕は足取り軽く学校に向かった


教室につくと椎名と財前が何かを言ってきたような気がしたが

全く耳に入ってこない

運命やら縁やらの類いは信じてこなかったが

きっとこれを運命の出会いというに違いない

僕の中でユリコは特別な存在になった

僕は自分の席に着き、静かにそして期待を胸にユリコの到着を待った


しかし待てど暮らせど、昨日僕に驚きと感動をいっぺんに味わわせてくれた女神は

始業の鐘がなっても一向に来る様子がない


不穏な気配に僕はそわそわし始めていた

その時誰かが教室に入ってきた

僕の胸は期待で高鳴るが、すぐに裏切られる事となる

入ってきたのは女神とは真逆の担任羽山だった

「おはようさん、えーっ今日は月夜が体調不良で休むそうだ

皆 体調管理に気を付けるように、それ以外は揃ってるか?出席とるぞ」


僕はこの言葉に絶望した、昨日の今日で体調不良なんて……

もしかして血を見て興奮する気持ちの悪いクラスメイトのせいで

体調が悪くなったなんてことはないよな

ユリコが初めて見せてくれたあの笑顔は

気持ちの悪い僕への精一杯の愛想笑いだったのか

僕の頭はたった今処理できる許容量を超えた

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