第28話 コレなら残酷描写いらないわよねぇ……。


 「麻里ちゃん、こうして二人で会うのは何年ぶりかな?」


 「高校の時以来かなぁ、私が『王子』さんに『カケヨメ』の事、相談した時だから」


 「おいおい、二人の時はいつもの呼び方でいいよ!」


 「ふふっ、じゃ、『おじさんっ♪』……って、『王子さん』と変わらないよー!」


 あははは!

 ふふふっ♪


 社長は麻里をランチに連れて行き、久しぶりの二人での時間を楽しんでいた。


 「ねぇ、おじさん、……そろそろ、いいんじゃない?」


 麻里がいやらしい目で社長を見る。


 「なっ、なんだその目はっ?」


 「ふふふっ♪ 知ってんですよぉ〜っ、おじさん、ママの事好きなんでしょ?」


 社長はあたふたして、ハンカチで額の汗を拭きながら、


 「バカやろっ! 『アニキ』の奥さんに俺がそんなっ、すっ、好きなんて、バカな事言うなっ!」


 「じゃあ、何でずっと彼女も作らないで、ママに会いに来てるのよぉ〜?」


 「……っ!」


 「いくじなしっ、私っ、応援してるんだからねっ!」


 麻里はプンスカ怒りながらアイスティーをストローでズズっと音を立てて飲んだ。


 「パパもおじさんなら、きっと許してくれるハズよ!」


 「うっ……」


 「ママだって、……待ってるわよ♡」


 人差し指をピッと立てて麻里は笑った。



 ※※※



 「今日は楽しかったー! ありがとう、おじさんっ、ここでいいわ!」


 麻里は家の近くまで来て手を振り、ニヤニヤしながら、


 「頑張れっ! 『パパっ♪』」


 「バカやろっ! 誰が『パパ』だっ! まだ何もしてないってのにっ!……あっ」


 慌てた社長が墓穴を掘った。



 「嘘でしょーっ? おじさん、修行僧なのー? ママ、そんなに魅力ないのー? ねーっ、ねーってばぁっ!」


 機関銃の様にまくし立てた。


 「誰が『修行僧』だっ? 魅力ない訳ないだろーっ、あんな……」


 「……あんな?」


 「あ〜っ、何でもないっ! 早く帰れっ! バカやろっ!」


 社長は背中を向け手を振り歩き出した。


 

 その時、黒いワゴン車が猛スピードで麻里の前に止まり、数人の覆面をしたヤツらが麻里を押し込み走り出そうとしていた。


 「まっ、麻里っ、麻里ぃーっっ!!」


 慌てて車に向かうも、一足遅く麻里を乗せて走り出して行った。



 ※※※


 

 「バネ太っ、俺だっ!」

 ……社長っ?


 「すまないっ、麻里がさらわれたっ! 今、仲間を集めて行方を追ってる! オマエも直ぐに来いっ!」


 沙樹の病室を出ようとした時、社長からの叫び声が響き渡った。


 「行くぞっ、蓮っ!」


 「ヨシッ、バネ太っ、アイツら、絶対に許さねぇーっ!」


 「気をつけてっ! 仲間にはヤバいのもいるハズだからっ!」


 沙樹は自分が動けないのが悔しくて、クッションを強く握りしめていた。



 ※※※


 

 「GPS付けといて良かったよな!」

 蓮は言うけど、


 「スマホとかは捨てられてるみたいだな、クソっ!」


 俺達はタクシーに乗り込み、麻里の後を追った。

 すると社長からLIMEが届き、


 『今、こっちも向かってる!🚗』


 『俺達が到着するまで動くなよo(`ω´ )o』


 ……こんな時に絵文字って。



 ※※※


 

 「やめて〜っ! 離してよ〜っ!」

 

 人気ひとけのない薄暗い倉庫に連れ込まれた麻里は必死に抵抗していた。


 「うるせぇ、大人しくしろっ!」


 覆面を外した五人組は、いかにも悪そうな顔をして、麻里を龍也の元に連れていった。


 「おぉっ、画像で見るよりも可愛いなぁ、オマエっ♪ 胸はあんまりないが、いい尻してるしっ、へへっ♡」


 そう言って麻里のお尻を撫で回した。


 「いやぁ〜っ、やめてよぉ〜っ!」


 涙目の麻里を見て、龍也は嬉しそうに、


 「い〜ぞい〜ぞっ♪ もっと叫べっ!」


 必死に抵抗する麻里を押さえつけ、顎を掴み、頬をぺろんと舐めた。


 「助けてぇ〜っ、バネ太ぁ〜っ!」


 「次は服を脱がしてぇ〜♪」

 ウッキウキの龍也が麻里のスカートに手を伸ばした時、


 「うわぁぁぁ〜っっああっっ〜つ!!」


 大声で叫びながら龍也に体当たりをした。


 その男は、……なんと、翔也だった!


 「テメェ、翔也ぁっ〜っ! オマエの為にやってんだろぅがぁ!」


 「龍兄っ、ダメだ〜っ、もうヤメてくれぇ〜っ!」


 先程ボコボコにされた顔で翔也は足にすがりつき必死に懇願こんがんした。


 龍也の取り巻きの五人に押さえつけられて、またもやボコボコにされる翔也。


 そのすきを見て逃げようとした麻里を追いかけて腕を掴んだ龍也。


 ピピピピーっ!


 腕を振り切り必死にホイッスルを鳴らす麻里の所に翔也をボコっていた一人が立ち塞がる。


 ……が、

 その男が背後から蹴られて吹っ飛んだ。


 「麻里ぃ〜っっ!!」

 倉庫中に響き渡るバネ太の声!


 「龍也っ、絶対許さねぇ〜っ!」

 続いて蓮が叫んだ。


 「何でココがわかったんだぁ〜っ!」

 龍也が驚いた顔で怒鳴ると、


 ピピピピー ピピピピー!


 「コレ、GPS付いてんだぁー! バーカ!」

 麻里がホイッスルを吹きまくる。


 「くそーっっ! オマエらやっちまえ!」


 翔也をボコボコにしていた四人が襲いかかって来た!



 白熱のバトルは第29話につづくぜっ!



 ※※



 桜「コレならギリセーフでしょ?」 


 桜「緊迫した場面もポップでライトな仕上がりでしょ? でしょ?」ドヤっ!


 麻里「ピピピピー!」←お気に入り♡


 「頑張ったなぁー桜蘭舞っ!」

 「お仕事ラブコメだよなー桜蘭舞っ!」

 「庭付き一軒家買ってあげるよー桜蘭舞!」


 そう思った方は♡★、フォローを宜しくお願いします!


 ♪読んで頂きありがとうございました♪

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