第25話 ココから私は『ダークでヘビーなラフランス姫』こと黒桜蘭舞なのよねぇ……。



 『「双魂」主人公の声変更で大反響! 週間アニメランキング連続一位!』


 世間では空前の『双魂』ブーム! 

 

 麻倉ともが歌うOP曲の『ピンキーリング』MVも一億回再生!


 来年春の声優アワード主演男優賞は、双子のどっちだ?



 ※※※



 「アイツら、……絶対許さねぇぞ! チクショーっ! 何で俺ばっかりこんな目にあわなきゃなんねーんだよっ!」



 翔也はタブレットを投げつけ、テーブルを蹴り倒し目につく物全てをぶん投げた。


 ガシャンガシャンと、鏡や花瓶、棚のガラスが次々と割れていき、足の踏み場も無くなった。


 あの一件以来、翔也の元には出演予定だったアニメが全てキャンセル、取り巻きの後輩達も辞めていき、更には父親が経営する『ウエストフィールド社』からも切り離され、正に廃業状態だった。



 「翔也っ! オメー何やってんだよ!」

 

 扉が開いて鬼の形相で怒鳴り声が、


 「オマエのせいで、俺までクビになったじゃねーか!」


 翔也の兄、西ヶ原龍也にしがはらりゅうやだ。


 声優業界の事など何も知らない龍也は、翔也に全てを丸投げして自分は海外でカジノ三昧の日々を送っていたが、今回の騒動を聞きつけ慌てて帰国して来た。


 父親は体一つ、一代であの会社をここまで成長させた凄腕の常識人だったが、あまりの多忙で息子達の事を部下や世話係に任せっきりにしてしまっていた。←そもそもこの時点で常識人ではないのでは?


 母親は翔也を産んだ直後に重い病にかかり他界していた。


 本社に入ってからも龍也は、女遊び、ギャンブル、それに反社会的勢力との繋がりも噂されていた。


 そんな龍也なので、本社で副社長をやっていたのも名ばかりで、こちらも親の七光り、実質解任、更迭の形で『W.V.F』の社長に天下りしていたのだ。←あってる?


 「龍兄りゅうにいぃ……っ!」


 龍也は、物が散乱している部屋をかき分け、翔也を捕まえ髪を引っ張り殴り倒した。


 「ひぇっっ、りゅ……」


 聞く耳を持たない龍也は、倒れている翔也を蹴りまくり、意識が飛ぶまで殴り続けた。


 「ちっ、こんなんじゃ俺の怒りはおさまらねぇんだよっ!」


 タバコに火をつけ、煙を吐き出した龍也は、翔也の頬を数回叩いて起き上がらせた。


 「りゅ、龍兄ぃ……ご、めん……」


 顔が腫れあがり上手く喋れない翔也に向かって龍也は、


 「翔也っ、とりあえず誰が悪いんだ?」

 

 「…………」

 翔也はパクパクと何とか声を搾り出し、


 「わかった、『……と、……』だな? 俺の可愛い弟を、……こんなにしやがって!」


 翔也の頭を軽く叩いて、


 「俺に任せとけっ、翔也っ!」

 「オマエのかたきは俺がとってやる!」←オイ



 ※※※


 

 その頃、いつものコンビニ、いつもの麻里の指定席で麻里は新作の構想を練っていた。


 俺は何も言わずに隣で今度主人公を演じる事になったゲームの台本を読んでいる。



 「バネ太……、今夜泊まってく?」

 「イヤ、明日朝早いんだ、ゴメン」


 「そっか……、じゃあしょうがないね」

 無理に笑顔を見せる麻里に、


 「俺の前ではそんな顔するなよっ! 我慢しなくていいからっ!」


 麻里の両肩を優しく包んで、

 「俺だけには、……もっと甘えていいんだぞ!」

 

 「ありがとう、バネ太♡」


 「今夜、……ウチ、来るか?」

 「うんっ♪」



 「……」

 「……」


 「アンタ達ねぇ、……私達が居るの忘れてない?」


 沙樹がニヤけ顔で言うと、


 「沙樹、俺達もうココに居る必要ないんじゃね? 冷房効いてるハズなんだけど、……暑いんだよ、ココっ!」


 蓮が手をバタバタさせていた。



 ※


 「それより蓮、聞いたか?」

 「……あぁ、翔也のトコ倒産するみたいだな」


 蓮はビールを一口飲んで、

 「アイツ、……大丈夫かな?」

 「自暴自棄になって、変な事しなきゃいいんだけどな」


 俺もビールを手に取りグビっと一口飲んでため息をつき、

 

 「あぁ、……何処か翔也を拾ってくれる所ないかなぁ?」


 すると沙樹が呆れ顔で、


 「アンタ達、お人好し過ぎよっ! 散々酷い事されたんだから自業自得でしょ?」

 

 「まぁ、……そうなんだけどな、一応可愛がってたからさ、俺達」


 蓮がなだめるように沙樹の肩をポンポンと叩くと、


 「もうっ! ……でも、そんな優しいトコも好きよ、蓮っ♡」


 「沙樹……♡」


 ピピピピーッ!


 「監視カメラが見てますよーっ!」


 麻里がホイッスルを吹き、両手で双眼鏡を作って二人を覗き込んだ。


 俺も呆れ顔で、

 「ココはラブホテルじゃないからなっ!」



 「「オマエが言うなぁーっっ!!」」

 

 

 第26話につづく……。



 ※※


 はい、ヤヴァい奴、出てきましたね!



 黒桜「ドヤっ! 悪者はこう書くのよ!」

 桜 「うぅっ、どうするのよ、私の手を縛って、……この先書けないじゃないっ!」


 黒桜「『ピピピピー』とか甘っちょろいモンいつまでも書いてんじゃないわよっ!」

 黒桜「次回から、滅茶苦茶にしてやるから覚悟しとけよっ! へっ」



 みんなぁ〜っ! 黒桜蘭舞に囚われた桜蘭舞ちゃんを★や♡、フォローやレビューで助けてあげて〜っ! はやくっ!


 ♪読んで頂きありがとうございました♪



 

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