声しゅきっ💕 〜あの声を思い出せ!〜 目指せ声優アワード主演賞! 廃業寸前の落ちぶれ声優と謎の訳あり美少女の成り上がり下剋上⁉︎
🌸桜蘭舞🍒@暫くお休みします!
第1話「もっかい、言って♡」
「……お弁当、あっためますか?」
すると彼女は身を乗り出し、カウンターに両手をついてマジマジと俺を見ながら、
「それぇ〜っっ!!♡」
そして人差し指をピッと立てて、
「今期のアニメ『キミのネコになりたいイッヌ』の第三話に出て来るコンビニ店員さんの声だぁ〜っ!」
……ナニコレ?
※※※
一時間前
「いらっしゃあせぇ〜」
ほとんど人のいない店内に響き渡る声。
人当たりの良さと通る声だけが自慢なんだよなぁ。
俺、『バネ太』こと
職業……声優。
自称……になりつつある、今はすっかり深夜のコンビニ店員だ。
※※※
養成所時代から多彩な声を使い分け、演技を磨き、声優なら誰もが憧れる『大塚事務所』に鳴り物入りで入所、将来を約束されたも同然だった。……ハズ。
少しハスキーで、それでいて繊細な少年の様に透明感のある声を武器に俺はメキメキと頭角を現していった。
その後、トントン拍子で主要キャラをゲットして、業界内では『バネ太の時代が来る!』とまで言われる様になった。よしっ!
三年前に『ちょっと聞いてよ清澄くん』でついに初の主演の座を掴んだ。
どうやら原作者様が俺の声をイメージして書いてくれてみたいだ。
(これで俺も人気声優の仲間入りだっ!)
声優ラジオやイベントに出まくって、もしかしたらアーティストデビューも夢じゃないっ! なんてね。
……だけど作画を担当した制作会社が、新規参入の聞いたコトの無いトコで作画崩壊、あまりにも出来が悪くて、原作勢から酷評に次ぐ酷評でネットは大炎上! 遂には原作者様からもクレームが入りまさかの途中打ち切り。
更には原作者様が、あまりのショックで倒れてしまい入院、その後作品を書く事が出来なくなってしまったらしい。
俺の声は主人公に合ってると評判が良かったんだけど、その事を聞いてなんか責任を感じてしまい、それ以来何をやっても俺は主人公の『あの声』が出せなくなってしまったんだ。
それでもその後は、準主役級を数本演じたが、『あの声』を出す事が出来ず、しかも毎回何らかのトラブルが発生して、ことごとく作品がコケてしまい、やがて俺は『クソアニメ請負人』と言う不名誉なレッテルを貼られてしまった。ううっ
それ以降は名前のない役、つまりモブだよね。エンドロールにも俺の名前に役名が付いている作品が減っていった。
そしてこの一年、俺が演じた役は……、
コンビニ店員
カフェのウェイター
ファーストフードの店員
家電量販店のハッピを着た販売員
そして、……生徒A、だ。
周りの声優連中からは『店員さん』なんて陰口を叩かれている事も知ってはいるけど、実際の所、今はほとんどコンビニ店員が俺の生活のメインになってるので、あながち間違いではないんだよね(苦笑)
しかもこのコンビニ、オフィス街で深夜はほとんど客も来ない。
もう、二十四時で一旦閉めた方がいいよね、コレ。
店長も「深夜はほとんど客来ないから、オマエ一人でいいよな?」
……ってなんだよ、話し相手もいないじゃないか。
ちなみにオーナー兼店長は俺の親父、だ。
※※※
……今夜も暇だ。
レジに立ったとしても店内に客は一人も居ない。
五月に入って数日が経つがまだ肌寒く、おまけに外は朝から雨が降り続いている。
ただでさえ客が来ない店なのに、今日は特に暇だ。
客が誰もいない深夜は、発生練習とか、昔の台本を引っ張り出して演技の勉強なんかもしているが、それももう潮時かな。このまま親父とコンビニやるか、どっかに就職でもしようかなぁ。
どのみちこのままじゃ、事務所もクビになるだろうし。
……そんな事を考えていたら、高校生くらいの見た目の美少女がカゴを持ってレジ前にやって来た。
(深夜にこんな可愛い子が来るなんて珍しいな、まるでK-POPアイドルみたいだ)
(お菓子にビール? ……未成年じゃないんだ。それと弁当。初めて見たけど、近所なのかな?)
そんなどうでもいい事を思いながら商品をスキャンしていく。
彼女はスマホをポチポチいじりながら会計が終わるのを待っている。
「お弁当、あっためますか?」
「……!」
スマホを忙しそうに動かしていた指がピタッと止まった。
「……お弁当、あっためますか?」
スマホ画面しか見ていなかった彼女が驚いた顔で俺を見て、
「……」
「……もっかい、言って」
???
「……お弁当、あっためますか?」
すると彼女は身を乗り出し、カウンターに両手をついてマジマジと俺を見ながら、
「それぇ〜っっ!!♡」
そして人差し指をピッと立てて、
「今期のアニメ『キミのネコになりたいイッヌ』の第三話に出てくるコンビニ店員さんの声だぁ〜っ!」
(な、なんだ、この子は?)
(確かにその役は俺がやったけど、……こんなん誰がやっても変わらないだろ?)
更に前のめりになった彼女は、頬を少し赤らめながら、
「じゃ、じゃあさっ! 『いらっしゃあせぇー』って言ってもらって、いい?」
目をキラキラさせて、まるでオモチャを欲しがる子供の様な顔で俺に顔を近づけた。
(近いっ、近いぞっ!)
「……」
「『いらっしゃあせぇー』」
「きゃ〜ぁぁあっっ♡♡!!」
第2話に続く♪
※※
『あー、桜蘭舞、前とナンも変わらねーな!』とか、
『この女の子のモデル、……オマエだろっ?』
みたいな愛のあるコメント、ご褒美を宜しくお願いします♡
コメント欲しくて新作書いたんだからねっ!←コレホント
そして作品、あと私をフォロー!(笑)
お★さまも嬉しいけれど、一番嬉しいのは生の声と新しい出会いです! 初めましての方もホント気軽に話しかけて来て下さいな♪
いつもの人達は……わかってるわね! 盛り上げて頂戴っ! 最初が肝心なんだからっ! すっ、すたぁとだっしゅ〜っ!!
♪読んで頂きありがとうございました♪
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