第25話
「染谷ちゃん、あなたは今もなお、笠井さんに洗脳されているの!!」
…………どういうこと?
その疑問の声は口から出ることは無かった。でも不思議であり不気味であることは確か。
私がつぼみちゃんに、洗脳されてる?
そんなことは万が一にも有り得ない、、はず。だって、私は確かにあの初めてのデートの日にちゃんと暗示をつぼみちゃんがかけようとしてるのを聞いてるし、私はその暗示にかかった感覚も無い。
なのに、どうしてだろう。
有り得ない、はず。
有り得ない、、と思う。
有り得ない、、、よね???
否定しきれない私がいる。
で、でもでも。
もし、万が一、私がつぼみちゃんに洗脳されていたとして………
じゃあ、それはいつから?
この当たり前だと思ってた日常が洗脳によって塗り替えられた異常なのだとしたら、私はいったい何を間違っているの?何を勘違いしているの??
知りたい、と思うのと同時に、怖い。
事実を知るのが泣きたくなるほど怖い。
でも、それと同時に、カノジョにかけられた洗脳ならば、きっと悪い方向で作用しているなんてことは無いはずだ。
という勝手な思い込みもあった。
一つだけ私が自信を持って言えることがあるとするならば、それは、、、
私とつぼみちゃんが愛し合っている、ことだけなのだから。
だから、きっと洗脳と言っても何か些細なことに違いない。
私は段々と余裕を取り戻してきて、今度こそ先生に聞いた。
「それはどういうことですか?」
「………落ち着いて聞いて欲しいのだけれど」
きっと大丈夫
「染谷ちゃんは、実は本物の笠井さんの恋人では無いの」
「えっ?」
「もう正直に言ってしまうけれど、さっきの暗示からも分かる通り、私は、、、
あなたのことが恋愛的な意味で好きよ。
染谷ちゃん」
「先生………」
「それでね?私は実を言うと染谷ちゃんに一目惚れをしてしまって、それから染谷ちゃんのことを影ながら調べたりもしてたの」
「そ、それって一歩間違えたらストーカーじゃないですか!!」
「………本当にごめんなさい。でも、信じて欲しい。私はそれくらい、本気で染谷ちゃんのことが好きだったのよ」
「……………続けてください」
「それで、染谷ちゃんのことを色々調べてるうちに、笠井さんが毎日放課後、染谷ちゃんに何かを囁き続けてたことを知った」
「囁き続けてた?」
「そうなの。……私ね、実は初めて染谷ちゃんと会った日にインターネットのサイトで、きっと笠井さんが見つけたものと同じものを発見きたの。でも、それでもまだ笠井さんがその暗示を染谷ちゃんにかけてる確証は無かったから、あの染谷ちゃんにお手伝いを頼んだ日に、私も同じように暗示をかけてみた」
「そ、そんなこと…………」
「信じられない?」
「…………」
「でも、それではっきりしたの。染谷ちゃんは間違いなく洗脳されやすい癖みたいのがついてる。あの日、私にも洗脳されてたんだよ?」
「えっ、、そんな、洗脳なんて馬鹿げたこと、、、、ほ、本当に私は洗脳されてたんですか?」
「うん。残念ながら、ね」
そんな………
じゃ、じゃあ!
ほんとに、ほんとに?
私は、つぼみちゃんと、本物の恋人じゃ、無い??
「そ、それなら!私の今感じてるこの、つぼみちゃんへの想いはなんなんですか!??」
「………それも、洗脳によって植え付けられた感情、だと思うわ」
………うそ。そんなの、うそだよ。
つぼみちゃんのことが『好き』っていうこの気持ちまで、実は改変されたものなの?
そんなわけ、無い。
「だから、ね?ここで改めて言うわ。染谷ちゃん。私は、あなたのことが本気で好きよ。確かに、私だって暗示という手段に逃げてしまったけれど、もう逃げない。正々堂々と告白する。染谷ちゃん、笠井さんじゃなくて、私と付き合って。お願い」
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あと5話です。
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