第17話
「えっと、、、も、もう一回言ってもらってもいい?」
顔を真っ赤に染めるカノジョ。それは急いで来てくれたから?それとも、私といるから頬を染めてくれていたり??
分からないけれど。
どっちにしても、私は嬉しい。
私の大好きなカノジョが、私のために急いでくれたこともすっごく嬉しい。
私の愛するカノジョが、私といることで照れてくれることもすっごく嬉しい。
そんなカノジョにお願いされたことだから、私は何度だって言うよ。
「あのね?今夜は、、つぼみちゃんにだったら私、抱かれてもいいと、、思ってるんだ」
カノジョが、つぼみちゃんが、息を呑んだのが分かる。そんなに驚くことかな?
つぼみちゃんなら、すぐに「嬉しい」って。「好きだよ!」って、言ってくれると思ってたんだけどな。
もしかして、その、私の身体には興味無かったり???
「ほ、ほんとうに?そ、その、ちゃんと意味分かって言ってるの?」
「そのつもりだけど、、、」
「…………じゃあ、どーゆう意味か言ってみて」
「え?今、ここで??」
私はつぼみちゃんの言葉で、少しばかり視野が広くなりカフェの店内を見渡す。
割と人がいて、私の声が喧騒に呑まれて聞かれない可能性は十分にあるけれど。それと同時に誰かに聞かれる可能性だって有り得るわけで。
さっき「抱いて」ってこの場で言ってしまったことが、今更ながら恥ずかしくなってくる。
それでも、、、
「つぼみちゃんの…………えっち」
私はそう言いジト目でカノジョを見つめて。
「はうっ(◦ >﹏<。)~♡」
そんな私に見つめられて悶えるつぼみちゃんを放っておいて、私は言った。
しっかりとカノジョにこの言葉の意味が伝わるように。そういうことだよ、って言ってあげたくて。
「今夜は…………私と えっち してほしい」
声が震えた。
恥ずかしい。
カノジョに喜んでもらうためなら、なんだってやると決めたばかりだけれど。
そしてこの言葉は、間違いなくカノジョを喜ばせるためのもので、私が恥ずかしがってちゃダメなはずなのに。
けれど、つぼみちゃんは何を思ったのか。
私の言葉を聞いて何を感じたのか。
テーブルの上に置いてあった空のコーヒーが入ってたプラスチック容器を持って、片方の手で私の手を引いて。
店内を飛び出した。
先にお会計を済ませる形式のお店だから良かったものの。きっとそんなことも考えていなかったんだろうなってほどに急な出来事。
私を先導するカノジョは私のことを見てはくれない。前しか見てない。
けれど、私には分かった。私だからきっとすぐに気づけた。
つぼみちゃんの耳が、とても朱に染まっていることに。
つぼみちゃんも、照れてくれてるの?
私と一緒に恥ずかしがってくれてるの?
私の言葉を聞いて喜んでくれてるの?
普段は眠たげながらも何事もそつなくこなす彼女が、どうり急に店内を飛び出すなんて突飛な行動をしたと思ったら。
そっか!
嬉しくて、恥ずかしくて、それでもやっぱり嬉しくて。
舞い上がって、何も考えられないほどに、舞い上がって。
だから、つぼみちゃんは私と二人きりでこの感情を共有したかったんだよね?きっと。
私たちはアウトレットモールの、誰も人気の無い店裏にやってきた。
もちろん二人きりで。
二人して、ハァハァと息を切らしている。
お互いに見つめ合うその視線は、とても熱っぽくて。クラクラしてきちゃう。
そして―――――
「「んっ」」
二人の唇が、甘く蕩け合う。
夜まで我慢できないの?つぼみちゃん♡
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