幼馴染のアイツ

凪@執筆休息中

第1話

 俺は幼馴染の姫乃ひめののことが好きだ。いつから好きになったかなんて分からない。

 いつの間にか、アイツのことしか考えられなくなっていた。どの女の子を見ても、

 どんな女の子から告白されても、俺の頭の中にはアイツしかいなかった。


 俺がこの気持ちに気づき始めたのは、高校一年の二学期。俺はいま高校二年。

 なんとしてでも、高校卒業までには告白をしたい。でも、アイツは受け入れるだろうか。俺は息を吐くように冗談を何度も言う。俺が告白しても、


 <またまたぁ、冗談はよしてよ(笑)>


 と、茶化されるだろう。それと同時に俺も笑って誤魔化してしまいそうだ。

 とりあえず、今の俺ができるのは姫乃に、恥ずかしいが恋愛事情を聞き出すことだ。



 ****



「よう、姫乃」

「やっほ、裕介ゆうすけ


 姫乃は、すぐ挨拶を返してくれるし、挨拶にプラス、笑顔まで降り注いでくれる。

 この笑顔を二歳の頃から見てきた俺はなんて幸せものなんだろうか。


「ねえ、裕介。今日のテスト返し、どうだった?」


 姫乃のちょっと意地悪なところは、俺の勉強が苦手なことを理由に、テスト返しがあった日にはこんな風に聞いてくるのだ。


「別に悪くはなかったよ。赤点は今回一切なかった。」


 姫乃は目を丸くして、


「あの裕介が赤点回避?!いやぁ、人ってもんはいくらでも変われるんだねぇ。」


 と言った。さすがの姫乃でもそれは言いすぎじゃねえか?

 …でもまあ、今回は殆ど姫乃に助けてもらったけどな。


「姫乃のおかげだよ。お前、まじで冗談抜きで頭いいから尊敬するわ。」


「それはどうも〜」


 そう。姫乃は頭がとてもいいから、この高校じゃ物足りないくらいの学力を持っているんだ。だって、この加茂萩かもはぎ高校の入試で、500点満点中489点という点数を叩き出したのだ。加茂萩高校は偏差値45くらいで少し低い。姫乃のその点数だったら有名な霧露瀬むろせ高校に少し余裕を持って入れたはずだ。


きっと、姫乃のご両親にも、もっと上の高校を狙え、と言われたはずだ。だが俺が知っているのは、姫乃は、俺と一緒に登校したかったから偏差値が低くてもそこに行きたい、と思っていたらしい。


 もちろん、学校側は姫乃を「優等生扱い」。お金も免除されているらしい。加茂萩高校は、レベル別に分かれており、「トップクラス」「上位クラス」「中級クラス」「基礎クラス」となっていて、俺はもちろん基礎クラスだ。姫乃は当然ながらトップクラス。だが、トップクラスに行けるのはわずか数人しかおらず、一昨年はトップクラスに行けた者は誰ひとりいなかったとか。そして、世にも奇妙な物語だが、姫乃が入学してきた年、去年にはトップクラスが10人ほどいたそうだ。


まじで、なんでこの学校選んだんだ?俺たちへの自慢か?こんな事を言ってしまうと姫乃に怒られるから言わないのだけど。


 そんな頭がいい姫乃にもできないことが一つだけある。


「なあ姫乃。俺と一緒にちょっと遊ばね?」

「昨日も一緒に遊んだじゃん。でもまあいいよ。何するの?」

「これだ。」


 そう言って俺が指さしたのは、「鉄棒」だ。

 姫乃は学問に偏りすぎて、運動が少しばかり苦手だ。

 特に、逆上がりができない。可愛い。


「裕介さ、私が鉄棒苦手なの、知ってるよね?」

「だからこそだろ。だし、今度の体育で鉄棒の分野だぜ?逆上がりは流石にできるようになっていようぜ?男子にばかにされたくないだろ?」

「もう…仕方ないな。スカートの中、見るんじゃないわよ。」

「見ねえよw俺になんのメリットがあるってんだよw」


 姫乃は俺にカバンを預け、早速練習した。だが、やはりうまくできなかった。


「姫乃。もっと腕で体を鉄棒に近づけないと。腕が伸びてたら回れねえぞ。」

「はいはい、わかってるよ。」


姫乃はどんどん練習を続けた。


****


日がだいぶ落ちてきたので、俺は姫乃に帰ろうと言った。

姫乃は、うん、と言った。



俺は姫乃に聞くべきことをすっかり忘れていたので、姫乃にすぐ聞いた。


「なあ姫乃。お前ってさ、好きな人とかいんの?」

「何よ、急に。まあ、いるっちゃいるよ。」


いるのかあ。そうかあ。それが俺だとしたら…なんて、漫画みたいなドラマみたいなことがあるわけないよなあ。


「そいつとは、学校同じなの?」

「同じだよ。」

「え!クラスは?」

「同じ。」


てことは、2−Cの誰かってことだよな。


「部活とかって入ってるの?その人」

「入ってるよ」

「え、何部?」

「それ言ったら大体絞れちゃうでしょ、言わないよ。」

「じゃ、じゃあ、運動部か文化部か」

「運動」


やっべえ。今までの条件全部俺当てはまっちゃった。だけど、そんなのただの偶然。

運動部なんて何個もあるし、運動部に男子なんていっぱいいるし。


だけど、やっぱ誰なのかは気になる。そこで、家までの十字路が現れてしまった。

俺は右で、姫乃は真っ直ぐなのだ。だからここでお別れだ。


「じゃあな、姫乃。また明日」

「うん、また明日。」





***



ここで姫乃と裕介の画像を載せておきます。


姫乃

https://kakuyomu.jp/users/_harunohi_143/news/16817330662031779755


裕介

https://kakuyomu.jp/users/_harunohi_143/news/16817330662031625526

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る