第11話 鉄達磨

 RQレッドクイーン社の実働部隊、鉄達磨テツダルマ――連中の纏う閉鎖式パワードスーツをあたしたちはそう呼んでいる――の重装兵が携える二十五ミリの咆哮は、銃声というよりも、熟練ドラマーの手になるタムタムのロール奏法に近い。二十世紀の世界大戦で使用された機関銃には、その連射速度の高さゆえに銃声が布を引き裂く音のように聞こえ、『総統の電動ノコギリ』の異名を取ったものがあったという話だが、そういう極端な弾幕に比べればさすがに遅いと思う。少なくとも、人間の耳で一発一発独立した発砲音同士をぎりぎり聞き分けられる程度には抑えられている。なにしろそうしなければ、どれだけ抑え込んでも発砲の反動で銃口が暴れ回り、標的に当たったものではないからだ。

 とはいえだからといって、人外の化け物を相手取るために設計された、強力無比な武装であることに変わりはない。少なくともこいつらはしっかり当てようとできているあたり、コントロール性は良好のようだ。

 ウイングに内蔵された可変スラスタを撃発して宙を舞うあたしの軌道をなぞるようにすい、すい、と推移する銃身が、まるで指揮にならう楽器のようだ。右に左に、上に下に。薬室からエキストラクタに弾き出された撃ち殻薬莢と分解したベルトリンクがきらきらと床で弾け、澄んだ音を響かせる。

 あたしの装着するボディスーツには、スキン層と中間層の間に剪断増粘流体のインナーレイヤーが仕込まれており、最外層に被せられたアウターアーマーには上半身を中心に、失活化フォーマイト基複合材製の避弾経始トラウマパッドシェルが実装されている。見た目は頼りないものの、肝心の防弾性能については折り紙つきだ。歩兵相手にはオーバーキル気味の二十五ミリフランジブル弾であっても、そしてたとえ肌が触れ合うような接射で食らったとしても、決して貫通は許さない。

 とはいえ、あたし自身にはあちらさんほどの目方はない。仮に直撃した場合、外傷こそ防げるが、最低でもボクサーのストレートをまともに受けるくらいの衝撃は浴びることになるだろう。ウイングにはオートバランサがあるので転倒はしないまでも、いいのをもらってしまうことは避けたい。

 そして、さすがはRQ社の実働部隊だ。巨大な昆虫の複眼を思わせる半球型の全天式ヘルメットで頭部をすっぽり覆っているので向こうの視線も表情も読めず、よく練られた射線を引いて効果的にこちらの動きを封じてくる。ウイングの同時撃発で一度上昇しさえすれば強行突破できるだろうが、その隙を与えてくれないのだ。装備の相性もあって直接的な損害を受けることはないにせよ、相手に時間を稼がせるのはあまり得策ではない。やはり、妙な動きをする白いドローン群に追い込まれて強引に着陸したのが痛かった。当初予定していた降下ポイントからかなり離れてしまっている。このまま膠着が続けば、狙撃や榴弾の飽和攻撃、アンチボディによる拘束の危険も高まる。

 思わず独りごちる。

「……それにいい加減、撃たれっぱなしも癪だわね」

 平均的な成人男性を一回り大きくしたようなサイズ感と、太く丸っこい見た目のせいで鈍重に思えるが、RQ社実働部隊がその身を覆う鉄達磨――閉鎖式パワードスーツは実のところかなり素早い。陸戦機動車両と遜色ない移動速度を生むのは、高出力アクチュエータが内蔵された太い足が生み出す脚力――ではなく、脛から足先に延びるホバーローラこと、エアクッション併用式縦列駆動輪だ。普段は腰部の背面装甲に折り畳まれている安定子スタビライザを展開し接地すれば、さながら前側二輪のヒト型三輪駆動車輛のような形態となり、たとえ射撃しながらでも高速走行することができる。実際、今でこそ膠着した防衛戦の様相を呈しているが、地上に降りた後の連中の平面機動性能はあたしの『黒拍子ドードー』よりも上だ。

 純粋な戦力差は歴然。自明の理だ。機動性も射程距離も、そもそものユニット数も負けている。

 しかしここは戦術シミュレーションではなく実際の人間同士による戦場で、だからこそ敵方の意表を突く選択肢を取る隙が介在する。

 そしてあたしの得物はIDORAイドラ。IDORAには戦局を回天しうるポテンシャルがある。

 複数の敵兵が弾倉交換するタイミングを見計らい、仕掛ける。あたしは足を曲げて姿勢を低く、投射面積を極力狭めてから、背面に接続した突撃槍を正面に低く構えた。下側に位置するウイングで床面を噛み、残りは防御に回す。

 ウイングに仕込んだ炸薬を撃発して、水平にかっ飛ぶ。

 これまでひらひらと上下左右に避ける動きだけを相手にしていた重装兵は、突如せり出してくるあたしに対応できない。回避の線運動ではなく、接近の点運動。吹きつける二十五ミリの鉄の嵐が集中し一層激しくなるが、こちらは自動展開するウイングをやや傾斜させることで銃火を弾き受け流す。蛇行しじぐざぐの軌跡を描きながら、小銃弾に織り交ぜられる榴弾を回避しつつ距離を詰めていく。

 射程に入った。ウイングを開く。

 耳をつんざく衝突音とともに、水平に打ち込まれた金属の腕が鉄達磨を薙ぐ。こちらの移動速度とウイングの重さが乗った弩級のラリアット。上体を打擲された二体の鉄達磨は安定子を展開して地面に体を固定していたのか、肉と金属の三脚と化した下半身を残して腰から捻転し後ろ向きに二つ折りになった。まだ銃を握ったままの上半身が、ぶら下がったまま発砲を続け銃の反動に振り回されてぐりんぐりんと揺れている。たぶんもう意識も命もない。脊髄の反射だろう。

 まだだ。まだ止まれない。槍の穂先を床に突き刺し、そこを起点に約九十度のターン。ぎゃりぎゃりと耳障りな音を響かせながら金属製の床材が削れ、オレンジ色の火花が散る。突撃の慣性で振り回される体をポールダンスの要領で折り畳み、もう一人の装甲兵を蹴り上げる。

 カーキとブルーグレーにペイントされた複合装甲が中身ごと吹っ飛んでいき、取り落とされた音叉――アンチボディが宙を舞う。ウイングを回転させて床を打ち弾くと柄を上にした突撃槍が引き抜かれ、あたしはそれに掴まって上空に跳び上がる。

 あたしのIDORA『黒拍子』が昇降特槊点しょうこうとくさくてんと名づけられたのは、この急激な空間上下運動のためだ。蝙蝠傘の骨のようなフレキシブルウイングのパワーと、その中に組み込まれた薬室で固体燃料充填カートリッジを点火、志向性を持った爆轟をスラスタから噴出することによって、目で追えないほどの速度で槍を撃ち出し、使用者ごと離陸することができる。静止状態から一瞬で最高速を出せるロケットのようなものだ。水平方向の飛行よりも、垂直方向の制動にコミットしているこの装備は、特にこういった乱戦においてより有利に働く。

 束の間の浮遊。残りの鉄達磨たちが、仲間の死に怯まず銃口を上げる。上昇したあたしを狙い撃つつもりだ。あたしは滞空したまま、穂先を下にして背面に槍を接続する。

 先ほどとは逆に、上空に向けてカートリッジを一斉撃発。装甲兵の銃から散発的に撃ち出される二十五ミリの嵐も、急降下に入ったあたしの速度を捉えることはできない。

 もはや形容もできない轟音。鼓膜を揺らすそれの源は、急降下とともに打ち下ろされた黒い槍の穂先。あたしの直下、標的にした鉄達磨は急降下をまともに受け止め、上からの莫大な運動エネルギーを浴びて、そいつの立つ床が大きく陥没し裂け砕ける。

 フォーマイトと金属の装甲板は原型を留めたまま。しかし、いくら彼らのパワードスーツが戦闘用だからといって、そんなレベルの圧力を生きたまま受けることなどそもそも想定されていない。

 結果、装甲同士の隙間のインナースーツが内圧に耐えかね押し出されて、強化繊維製のそれが内側から破れ、爆発的な衝撃で瞬間的に撹拌された体液と肉片と骨片とが四方八方に飛び散っていくことになる。通常のうみうさぎのように、兵士たちの体を覆っているのがフォーマイトの無垢材ならこうはならない。仮にもしそうなら、槍の穂先がフォーマイトの結合を破壊し中身ごと貫通していくだろう。だが鉄達磨を構成するフォーマイトと金属の多層構造の複合装甲は、こちらのIDORAの浸食作用を遮断してしまう。ゆえに侵食は最初の層で止まってしまい、それ以上破損も変形もしない。代わりに関節をはじめとする可動部やインナースーツの露出部位だけが無理に押し潰され圧縮され、逃げ場を失い圧縮された中身が装甲の隙間から鉄砲水のように押し出されることになる。

 降下の重力と撃発の初速で絞り出したばかでかい衝突力で以てうみうさぎを貫き、IDORAによる侵食を受けつけぬ、鉄壁の防御を誇る鉄達磨でさえも力任せに折り畳み圧縮し絶命させる、使用者そのものの質量と速度とを弾頭とした精密刺突爆撃。これがあたしの『黒拍子ドードー』の真髄、『撃降げっこう』だ。

 まだ残っている。槍の軸に内蔵した杭打機パイルドライバで穂先を打ち出し、その反動で再度上空へ駆け昇る。

 降下。上昇。降下。上昇。敵兵が折り畳まれた殻を残して破裂するたび、その数を確実に減らしていく。

 一度こうなってしまえば、靴底でアリを踏み潰すようなものだ。こと乱戦においてあたしの『撃降』は、生半可な手段では止められない。

 対空の火線を引いていた地上の鉄達磨たちが不利を悟り、後退を始めたのを確認する。このまま畳みかけて、一気に司令部まで攻めのぼる。

 何度目かの上昇から滞空、降下に移った瞬間、視界の端に複数の黒い影。色はともかく、姿形はカーキとブルーグレーに塗装された実働部隊の鉄達磨とほぼ同じ。違うのは頭部に備えられた一対の突起。半球状の帽体から斜め前に突き出しているので、ずんぐりした体系も相まってカエルの目玉のようだ。

 増援か。しかし、今まで前線を維持していた装甲兵はもう後退に移っている。であれば、単なる追加戦力というわけでもなさそうだ。

 新手の出かたを見る手もあるが、今は後手に回る余裕がない。少々雑なやりかただが、最速最高出力の手段を行使する。狙いは直下、新しく現れた黒い兵士の一人だ。

 必殺の威力でもって打ち下ろされた『撃降』はしかし、標的を破裂させるには至らなかった。

 確かに命中した、と思ったあたしの急降下爆撃は、標的とした黒い鉄達磨のすぐ横の基地床面に突き刺さっていた。

 目測を誤るはずはない。今の今まで必中だったし、今さら計算を間違うことも考えられない。そんなあたしの疑問をよそに、破裂を免れた黒い鉄達磨が携えた得物をあたしに向けて、水平に振るう。アンチボディでもなければRQ社制式のどでかい突撃銃でもないその武器に、言いようのない怖気を覚えたあたしは槍を打ち出して再度上昇、空中に離脱する。

 上下にすれ違いざま、あたしは視認した。黒く塗装された鉄達磨を纏う敵兵の肩に、突撃銃を抱く赤毛の美女を象ったRQ社のロゴ。その下に奇妙なエンブレムマーキング。

 エンブレムの図案は、白抜きの円の中にトランプのスート、黒いスペード

 あたしの眼が認めたその像が意味するものが何なのか、考えを及ばせた瞬間のことだった。

 突如として側面から打ち込まれた砲弾のような打擲に、あたしは弾き飛ばされた。

 ひどい耳鳴りがする。あたしの体全体が、スーツの背面に接続した突撃槍ごと右方向に吹き飛びながら高速で回転している。槍の穂先のウイングが勝手に広がり、プログラムされたオートバランサが回転の方向に向けてカートリッジを撃発、逆噴射することで強制的に動きを止め、姿勢を復帰させる。着地の直前、ウイングが蛸の足のように展開し、床に突き立てられたそれらが転倒を防ぐ。

 首を巡らすと、着地し残身を取る別の黒い鉄達磨が目に入った。上昇と降下のちょうど間、少しだけ速度が落ちる滞空の瞬間を狙って、側方から飛んできたあの兵士に蹴り飛ばされたのだ。『撃降』の数少ない隙を見逃さず突いてきた。その刹那のタイミングを予測して合わせにきたあたり、明らかに只者ではない。

「何者……」

『こちらはファン将軍直属装甲化そうこうか斬馘分隊ざんかくぶんたい黒鍬機動衆スペイダーズ』が一翼、イェン中尉である。貴殿に勧告する、茶会公司TP社走狗そうくよ。即刻武装解除し降伏せよ』

 ご丁寧に共通回線に割り込んでくる。こちらの独り言が聞こえていたのだろうか。ずいぶん律儀な連中だ。むしろ時代錯誤と言おうか。范将軍というのは、連中の代表取締役だったはずだ。こちらの素性は予測されていると思っていたが、まさか向こうから名乗ってくるとは。

「なるほど、あの『黒鍬機動衆スペイダーズ』ね。噂はかねがね。まさかこんな辺境の基地に詰めてるなんて思わなかったわ」

『貴殿は『假信号グリッチ』のIDORAイドラ遣いと見受ける。再度通告するが、武装解除と投降を推奨する。蛮勇は死期を早めるゆえ』

『黒鍬機動衆』は旧統一軍から受け継いだ鉄の規律を色濃く残すRQ社の中でも、最もタフで精強なエリート部隊として内外に勇名を馳せている。本物を見たのは初めてだが、あたしも名前は嫌というほど知っている。うちの会社も何度も煮え湯を飲まされてきたらしい。

 噂に曰く、高強度の基礎訓練を完璧にこなし、生身で合計二百キロ以上の装備を担いだうえでのべ千日以上に及ぶ空挺・山岳・海洋・凍土におけるサバイバル訓練・救助訓練・戦闘訓練をやり遂げ、更に複数回の実戦に重装兵として参加し功績を挙げた者の中から選抜されるとか。前線で状況に当たる兵士としては生え抜きもいいところ、誇張なしに最上級のつわものだ。

「あいにくだけど、断るわ。これがあたしの仕事なんで」

『……貴殿の宣戦布告を受理した。されば覚悟を。走狗』

 黒い鉄達磨は表情が読めない。微かな駆動音とともに、静かに得物を構えるだけだ。


 奴らの特徴は、黒を基調に染め上げられた鉄達磨だけではない。

 その得物。黒鍬スペードの名の通り、黒い特殊塗料が塗られた大型の円匙えんぴ。有り体に言ってしまえば先の尖ったシャベルだ。彼らが肌身離さず携え、その扱いに習熟するこの原始的な得物の由来は、南極会戦よりも前、人類がうみうさぎへの攻勢に出る以前まで遡る。

 IDORAのように複雑なフォーマイト利用法が確立されていない頃のことだ。統一軍はFOAMウイルス蔓延地域の拡大を食い止め、当時防疫ぼうえき戦線せんせんと呼ばれていた前線を押し戻すため、海岸線に築いた陣地から砲撃と銃撃による飽和攻撃を繰り返すことで、物理的にうみうさぎを弾き飛ばし排撃することに注力していた。明らかに野蛮で強引で、冴えたやりかたとは到底言えないが、当時はそれ以上に効果的な方法がなかったのだ。

 うみうさぎは海中や沿岸部に敷設された機雷群を器用に避けるし、既存のレーダにもソナーにも映らない。奴らを捕捉する——当時はフォーマイトの研究も十分に進んでいなかったから、それを利用したセンサー類の実装が可能になったのは戦後だ――には、目視による直接確認以外に方法がない。そのうえ素早く、硬く、何よりあまりに多かった。

 たとえ航空機、高性能ミサイルや熱核兵器を使用し有効打を与えたとしても、フォーマイトで全身を覆ったうみうさぎの群れを完璧に駆除できるわけではない。また、そうした範囲兵器は対象が海中に逃げ込んだ場合、威力も射程も激減する。それにそもそも準備や整備に経費と時間がかかりすぎて、高頻度かつ不規則に侵攻してくるうみうさぎの襲撃への逐次対応には間に合わないのだ。潜水艦などに搭載される投下爆雷や魚雷にしても前者よりはまし、というくらいで、標的が小さく素早いためなかなか当たらず、根本的な解決にならない。そして放射能汚染や爆発の余波など、既存の人類社会への影響を考慮すると、当時の統一軍がうみうさぎに対して恒常的・現実的に取りうる戦術は前時代の対人戦争よろしく、古式ゆかしい陣地防衛戦しかなかったのだ。戦車や特火点トーチカ、塹壕や堡塁に配置した大口径高威力の銃砲類、それらを操作する兵士たちによる掃射排撃を絶えず行うことで何とかうみうさぎに対抗していた時代だ。

 さて、そうした飽和射撃を恒常的に行っていればみるみるうちに銃身が疲労し摩耗し煤がこびりつき、何より大量の撃ち殻薬莢が発生する。発射直後、銃や砲の薬室から吐き出された空薬莢は高圧ガスに曝され熱を持った真鍮や軟鋼であり、数十発程度ならまだしも何百何千、何万発分と身近に降り積もれば、ふとした拍子に灼けた金属の波が雪崩を打って押し寄せてくることになるわけだ。素肌に触れれば火傷や火ぶくれができるし、踏めば転ぶし、大口径のものは重くかさばるし、たとえ小さくとも積み重なればそこにあるだけで移動や射撃の邪魔になる。実際に銃座に取りついて武器を操る兵士たちだけでなく、その戦闘を支える補給兵や伝令兵にとっても、そうした状況下で行動範囲の内に蓄積し続ける空薬莢の処理は悩みの種だった。

 そうした問題に対して現場の統一軍兵士たちが捻りだした対処法は、本来掩体や塹壕を設営するため各兵士が携行していた円匙――軍用シャベルを使って、壕やトーチカの外に使用済み薬莢を手作業で掻き出し搬出することだった。それに並行して、銃本体の排莢口に薬莢受けを取りつけその都度回収するという対策プランや、保熱しにくいポリマー製のもの、排莢そのものを必要としない成形火薬によるケースレス弾や焼尽薬莢、果ては銃本体に外付けする冷却装置の導入なども模索された。しかしこうした手法は、射撃が続くと銃身・機関部過熱による給弾不良ジャミング過熱暴発コックオフが頻発し、撃ち手の即時応戦の蓋然性低下を引き起こして継戦能力が下がる。同時に、機種の大規模更新は交換銃身やその他損耗部品類の供給が追いつかないことから、新式銃は一部試験運用されたのみで、結局普及しなかった。

 そういうわけで兵士たちは、壕を埋め尽くす大量の灼けた金属を掻き出し掻き出し、たかだか据え置き式の重機関や無反動砲程度の貧弱な装備で、人知の及ばぬ怪物であるうみうさぎに対することを余儀なくされ、決死のストレスに絶えず曝されていた。彼らにとって、手に馴染み苦楽を共にした円匙は、そうした過酷な環境が与えてくる心理的負担を乗り越えるために必要不可欠の存在だったのだ。そして、その刃を斧のように鋭く研いでおけば、いざというときに自らの命を絶つことのできる最後の手段でもあった。

 弾薬のある限り、それらは全て銃に込めうみうさぎに向けて撃て。事切れるその瞬間まで食らいつけ。でなければ貴様の家族や恋人は奴らに蹂躙され、物言わぬ結晶の彫像と化すのだ。そうさせぬため、貴様らは命を捨て死兵となれ。

 貴様らの遺骸を踏み越えて、その後に続く者たちが人類の明日に手を伸ばすのだ。

 繰り返しそんな訓示を受け、手にした銃で自害することも許されぬ彼らが、全ての弾を撃ち尽くしてなお打つ手をなくしたとき。その極限状態で、人間としての尊厳を保ったまま自決できる方法を常時持っているということ——死ぬまで戦う覚悟のその一方で、その気になりさえすれば、いつでも自らの手で自身の生命を終わらせることができるという、一見矛盾する事実が逆に、死に臨む彼らの心の支えとなったのだ。さながら旧世紀の大戦末期、インペリアルジャパンのバンザイアタックの搭乗員が、特攻に際し携帯したという短剣のごとく。

 こうした逸話は兵士たちの間で共有され、やがて参謀本部の知るところとなった。そして、もともと兵卒が野戦で携帯する一装備に過ぎなかったシャベルという道具——南極会戦以後、対うみうさぎ戦闘において主戦場が海上・海中となり、土を掘って掩体や塹壕を作らなくなって、わざわざ各兵士が装備する必要性が失われた——は、一種のプロパガンダとして象徴的意味を持つようになり、過酷な訓練を乗り越えた精鋭にのみ、決死の精神の証として支給されるようになる。

 従来耐錆鋼ステンレスやチタン合金、ポリマーなどの素材を使って複数の部品を組み立てることで作られていた軍用シャベルは、以上の流れを以て独自の進化を遂げた。単なる道具としてだけでなく、いざとなればうみうさぎやIDORA遣いにも応戦できる武器として使えるよう、反応合金と失活化フォーマイトとを、爆着圧接にて交互に何層にも重ねた――鉄達磨の装甲材と同じ――継ぎ目のない一枚の複合板から、刃先から握りまで全て削り出しで作られるようになった。よりシンプルに、より軽く、そして強靭に。

 すなわち、この世で最も頑丈な一枚の板切れを、手間暇かけて切り抜き、長い時間をかけて研磨したもの。

 それが彼ら『黒鍬機動衆』が携えるスペード、『複材合成斬馘円匙コンポジット・スペイド』だ。


『貴様らは待機。不測の事態に備え後方を警戒せよ』

 同じ装備をした部下にそう言い含め、黒塗りの円匙を両手で構える『黒鍬機動衆』のイェン中尉。自分の正中線をガードしつつ切っ先はこちらに向け、右手は柄頭を覆うように掌を当て、左手は逆手持ちで柄の中ほどを握っている。短槍や銃剣突撃の構えに似ているが、左の掴みが通常と逆で、かつ両肩を縮めており、少々窮屈そうな印象を受ける。

 白兵戦だ。閻が突っ込んでくる。円匙の全長は頭から尻までで一メートル二十ほど。生身で持つならそれなりに長物の部類だが、二メートル六十ほどもある体格の鉄達磨が携えると片手斧トマホークくらいのバランスだ。現在、有利なのはリーチが長いこちらの方。敵の間合いに入る前に、複数のウイングを走らせ刺突攻撃をしかける。

 ボクシングでいうところのジャブに近い、牽制気味に突き出したウイングを円匙の刃で受け流した鉄達磨が更に間合いを詰めてくる。もとよりこちらも初撃で決めようとは思っていない。『黒拍子』のウイングは全部で二十八本あり、その全てが多関節でフレキシブルに稼動する。鉄達磨の板金装甲には侵食能力が通用しないとはいえ、迂闊にインファイトを挑めば隙間から滅多刺しだ。それが分からぬ奴らではないはずだが、同時攻撃にどう対処してくるか。

 矢継ぎ早に殺到するウイングの刺突を、構えた円匙の刃を滑らせて捌き、双方の得物をしならせるようにして先端を外してくる。円匙の切っ先を頂点として、横倒しにした円錐を描く三次元的な挙動だ。中国式の武器術と日本の古流槍術とを取り交ぜたような、得物の流れをコントロールする防御。鉄壁のディフェンスだ。以前ガシュウが訓練でやって見せたような、常人離れした反射神経に頼りきりのガードとは違う。確かな術理と、それを可能にするだけの訓練の裏打ちを感じさせる。

 奴の正面防御は一級品だ。これ以上手数を増やしてもおそらく崩しきれないだろう。あたしはそう判断した。ならば後方。相手の間合いに入る前に、背面から装甲の隙間を攻める。

 釣り針のように関節を曲げたウイングが三本、鉄達磨の頭上と右脇の下を迂回して、背中側の、装甲同士の間に露出したインナースーツを狙う。

『小賢しいっ』

 閻中尉が通信越しに一喝し、次の瞬間、耳障りな金属音を響かせて目の前の鉄達磨がフィギュアスケートのごとく水平にスピンした。背面を狙ったウイングは全て、横方向に遷移するシャベルの刃に弾かれる。両足に備わったホバーローラを片側だけ急激に駆動させることで、片足を軸に独楽のように反転したのだ。

 それだけではない。ウイングを弾くため後ろを向いた鉄達磨の背面に備えつけられた長い安定子スタビライザが、あたしの顎を狙ってアッパーカットのように跳ね上がる。攻防一体の洗練された動きだ。意表を突かれたあたしは咄嗟にウイングで体を引っ張り、上半身を仰け反らせて回避したものの、体勢を大きく崩した。顔に装着したマスクのすぐそこ、目と鼻の先を大質量の金属柱が風を切って掠めていくのを肌で感じる。

『……まだだ』

 コーデックから閻の低い声が聞こえ、首筋が本能的な危機を予感する。オートバランサがあたしの姿勢を戻す一瞬を突き、鉄達磨の太い腕があたしのウイングを掴んで下方向に引き込む。そのまま一本背負いのごとく肩に担ぎ、振り回されて姿勢制御の覚束ないあたしごとぶん投げる。

 金属の床に叩きつけられ、バウンドして転がるあたしのヘルメット内部のモニタで、『黒拍子』の装備管制がエラーを吐く。無理な体勢で投げられ打ちつけられたせいで衝撃を吸収しきれず、掴まれた個体の関節が不具合を起こしたのだ。曲げることも撃発することもできない。

 動かないウイングは無用の長物、デッドウエイトだ。こいつを相手にするためにはやむを得ない。壊れた部位を切り離す。立ち上がりざま、腹立ちまぎれに無事なウイングを使って切り離したそれを投げつけると、早くも姿勢を戻した閻中尉は難なく尖った多関節腕を片手で掴み取った。

『落第点だ、走狗。発想は悪くないがIDORAの膂力と速度にかまけているせいで、貴殿の攻撃は芯を捉えきれていない』

 折れたウイングを脇に投げ捨て、再び円匙を槍のように構える閻。対するあたしも反撃のため、揺り動かされた三半規管を宥めすかしつつ呼吸を整える。

 強敵だ。平面機動性以外、スペックではディフェンスもオフェンスもこちらの性能が上なのだ。そうでなくとも、IDORA遣いというだけで、こちらにはアドバンテージがあるはずなのに。

 彼我の装備の性能差を覆すだけの技術と経験が閻にはあるということか。仮にもし今、無理に『撃降』を放ったとしても、さっきと同じように受け流されるはずだ。精鋭すぎるだろう、さすがに。仮にあたしが目の前の閻中尉を倒したとして、彼に準ずる戦力を持つと思しき『黒鍬機動衆』が、まだ後三人も控えているというのに。

「……はあ、ふう。案外おしゃべりね、あんた」

『先ほどの貴殿の流儀に倣っただけだ。当方にとってもこれは責務である。手を抜くような愚は犯さぬ』

「まるであたしをいつでも殺せるって言いぐさね。まあ今の状況なら、誰でもそう思うでしょう、けどっ」

 言いながら、あたしはウイングを走らせる。会話しながらならつけ入る隙があるかと思ったが、こともなげに逸らされる。薄々分かっていたことではあるが、そんなことで油断するようなタマではない。

 ウイングによる刺突を弾いた勢いのまま、閻は黒い装甲に覆われた手で斬馘円匙を振りかぶる。斧のように叩きつけられたその刃が、繰り出したウイングの関節部分に対して横ざまに命中し、ひん曲げて破壊してしまった。

 考えてみれば確かに、あたしのフレキシブルウイングと奴の斬馘円匙だけを比べるなら、その強度に大きな差はない。どちらも失活化フォーマイトを含む複合素材であり、そして攻撃の精度は奴の方が上なのだろう。

 黒い鉄達磨が、滑るように間合いを詰めてくる。ウイングを交差させ正面の防御に回すが、シャベルの刃の出っ張りを利用して引っかけられ巧みに崩される。上半身が沈んだところを、顔面へのコンパクトな二連撃。あたしの顔を守る『黒拍子』のヘルメットに亀裂が入り、破片で裂けた傷から眼に流れ込んだ血で視界が塞がる。その隙を見逃さず、間髪入れない鳩尾への強烈なボディブロー。

 ウイングの制御が間に合わない。何が起きたのか、受けたダメージの程度は。だめだ。状況把握が追いつかない。

 これが『黒鍬機動衆』の実力か。体を丸め、混乱した脳を無理に動かそうと試みる。呼吸ができない。落ち着け錯覚だ、実際には深刻な損傷は受けていないはずだ。衝撃自体は『黒拍子』のスーツが吸収してくれている。しかし本当にそうか。奴の技量ならスーツの内側までダメージを通すことができるのでは。矢継ぎ早に殴られたイメージが脳の処理を遅らせ混乱させている。壊されるはずがないと自負していたウイングを折られた事実が、実際の損傷以上の打撃を精神に与えてきている。

 ふらついた足を、鉄達磨の装甲に覆われたローキックに刈られる。背中側にひっくり返ったあたしをウイングが支え、槍の穂先が床に刺さってかろうじてダウンを回避したところで、首に円匙の五角形の刃を突きつけられる。

『もういいだろう。まくだ、孤剣こけん走狗そうくよ。最後にもう一度だけ言う。投降しろ。二秒、待つ』

 横隔膜が本調子を取り戻し、声を出せるようになるまで一秒。

 そのとき、音が聞こえた。待ちに待ったその音が。あたしは少し冷静さを取り戻す。そして息を吐き、諦めた。

「……あたしはイヌじゃない。トリよ——」

 言い終わる前に、閻の繰り出す刃が迫ってくる。

 あたしは瞬間、『黒拍子』との動作認識リンクを全解除した。

 体を仰向けに支えていたウイングが解け、背中から床に落ちる。強かに打ちつけたせいで寸の間呼吸が止まるが、衝撃を覚悟していた分まだましだ。直後、閻が突き出したシャベルの刃はあたしの頸動脈を捉え損ね、露出した肌のほんの数センチ上を通り過ぎる。コンマ以下の時間だが、余裕ができた。

 目の前の『黒鍬機動衆』がやや目を見開いた。ように思えた。無論、頭部を全て覆い隠す全天式ヘルメットのせいで表情は見えないのだが。あたしは床面に対して斜めに突き刺さった槍の柄に手を伸ばし、握りしめる。

 動作認識のリンクを切ったとはいえ、『黒拍子』の突撃槍に備わった機能そのものは停止していない。あたしの発する音声に応じて、プログラム通りに動くのだ。

「——『起爆ファイア』」

 紡いだ言葉に呼応し、突撃槍に仕込まれた特大の杭打機パイルドライバが起動する。破裂音とともに炸薬の爆轟で勢いよく射出された穂先がその反動で引き抜かれ、勢いよく宙を舞う。槍にしがみついたあたしとともに。

 これは『撃降』の予備動作としての上昇ではない、あくまで緊急避難だ。上昇時に比べて、射角が標的に対して十分な角度を確保できていないので、あたしの体が慣性で空中を振り回される。しかし、最低限の距離は取れた。

 こちらを見上げた黒い鉄達磨が苦々しげに吐き捨てる。

『矜持を持たぬ走狗イヌめが。浅はかな——』

「——さっきあんたは孤剣って言ったけど、あたしね。実は独りじゃないの。頼れる後輩がいるのよね」

 あたしには聞こえている。あんたにももう聞こえているだろう。巨大な砲弾のごとく、空気の層を切り裂き音速を超えて疾駆するその音が。

 悔しいが、あいつに任せる。

「期待、してるぜ。ヘイヤー」

『何ぃっ——』

 閻も気づいたようだ。しかし間に合わない。彼にとって、全てがもはや手遅れだ。

 超音速のジェット機が放つ高音。それに似た遠い大気の悲鳴。あいつの放つそれは、速やかで荒々しい死の合図だ。

 眩い海緑色の閃光。

 夕暮れに差しかかる前の、やや弱まった陽光と海面の乱反射の中にあってなお際立つそれは、さながら日没の瞬間、太陽と海の狭間で発生したプリズムが放つ神秘の色彩のごとく。

 あいつがあたしのもとに駆けつけるのは、いつだって夕暮れの直前だ。

 それが視界に入った瞬間、RQ社の閻中尉はその身を包む黒い鉄達磨ごと、腰から上を全て抉り取られていた。特大の風船を割るような破裂音が数拍遅れてあたしの耳に届く。

 中身を残したままの鉄達磨の下半身がくずおれ、断面からまろび出る臓物と血液の中に、折れた白い脊髄をのぞかせた。ややあって遠く、がごおん、と、飛んでいった閻の上半身がどこかに打ちつけられる音がした。

 半透明の鳥脚チキンレッグの先端と、右手の鋭い爪を金属の床に突き立て、凄まじい擦過音とともに火花を散らしながら床を引き裂いたうえでようやく制動し静止した、異形の人影が振り返る。

 世にも珍しい、ヒトを宿主とするうみうさぎ。『グリッチ』での識別名を『纏勁兎マーチ・ヘイヤー』。十六歳の少年、ガシュウ・ヨクト。あたしの同僚、後輩、そして弟子。

 その吶喊の速度は鉄達磨の駆るホバーローラどころではない。ヒトを象った特殊貫通弾バンカーバスターとして、運動エネルギーだけで主力戦車の正面装甲を抜く威力がある。それが更に活性フォーマイトの鎧で全身を固め、TP社旗艦「ティーポット」の保有する艦載ソレノイド砲マスドライバを介して猛烈な加速を与えられて、音速の一段階上の速度で駆け抜けるのだ。RQ社謹製、最新型の鉄達磨といえど、正面から衝突すれば古くなったゴムバンドのように引きちぎられてしまう。先ほどあたしの『撃降』を逸らしたような技量やテクニック——無論、いくらテクノロジーの塊のパワードスーツを着込んでいるとはいえ、人の身でそれができる時点でとんでもないのだが——そういう小手先の手段でどうにかなる類のものではない。

 自分を狙って射かけられた矢を、素手で掴み受け止めることができる人間がいたとする。そいつは間違いなく普通の人間の範疇を超えた達人だ。たとえるなら、そんな達人に対して、大人げなくも対戦車ロケットを撃ち込んだ。今はそういう状況であると言える。

 そして『纏勁兎』の吶喊は、その威力ゆえに余波もまた半端ではない。こいつが標的にした対象に下手に密着していると、たとえ『黒拍子』の高性能スーツでも巻き添えだけでばらばらになりかねない。そうならないために、あたしは無理にでも距離を取らねばならなかったのだ。

 種としてのヒトとうみうさぎとは、それほどまでに隔絶した力関係にある。

 フォーマイトは宿主の思考に応じて能力を発揮する。宿主となった生物が侵攻戦術に応じた生態を持たねばこそ、我々人類は今までなんとか対処してこれたし、南極会戦を一つの区切りとする防疫戦を勝利することができた。対して、世界初のヒトがベースのFOAM罹患個体である『纏勁兎』はその埒外にある存在だ。高度な判断能力と自我とを持ち、目的に応じて精密に連携し運用される、兵器として戦術に組み込まれたうみうさぎ。

 しかし、そんな常識外れのタッチダウンを果たした『纏勁兎』もまた無事ではなかった。左腕を落とされている。接触の瞬間、閻中尉が死に際のカウンターで繰り出した斬馘円匙に結晶の甲殻ごと切り裂かれたのだ。刈られた葦の茎のようにすっぱりと切断されたその切株から、断続的に赤い血が噴き出している。さすが精鋭『黒鍬機動衆スペイダーズ』だけあって、ただでは死なない。

 決して浅くはないその負傷を気にした様子もなく、彼の頭部から延びる『うみうさぎの耳』がぴくん、と揺れた。まるで本物のウサギの耳のように。がっちりと噛み合わされた鋭い牙状の甲殻が並ぶ顎、頭部側面まで裂け両端を吊り上げた口。恐ろしげな笑みに見えるその結晶の仮面が、実のところ不器用な愛想笑いモンロースマイルであることを、あたしはもう知っている。

 どうにか着地しふらつくあたしの肩を抱く、結晶に覆われた右腕は、今しがた上下に断ち割った閻中尉と自身の鮮血に濡れてどす黒く染まり、心なしか仄かに温かい。

「ご無事ですか、先輩」

「……」

「む。怪我されてますね。ぼくの声聞こえますか。声出せます……」

「……んんんんっ。なっ、ガシュウ」

「ああ、よかった。……え。何ですか」

「来るのが遅えって言ったんだよ。今、まじ、死ぬとこだったんだぜあたし」

「いえあの、ほんと、間に合ってよかったです。……お待たせしました、すいません」

 結晶を纏う怪人の、滑らかな曲面の額を軽く小突いてやる。無貌の仮面の中で、唯一ヒトであることを主張するたった一つのヘーゼルの瞳がこちらを見返している。申し訳なさそうに頭を掻くその姿は酷く人間臭く、こうして見ると喜劇的にすら思える。

 しかし、他でもないガシュウ・ヨクトは、あの日と同じように、たった今血を流して、再びあたしを救ったのだ。

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