特務機動隊小隊長 木村正隆 (2)

「う〜……う〜……」

 所轄の刑事部の中でも「殴り込み部隊」がフンじばられて階段に転がされている。

 ご丁寧に口には猿ぐつわ。

 左肩の無線通信機 兼 簡易端末はブチ壊されていて……ヘルメット前面と右肩のカメラのレンズにはペイント弾。

「所轄に、救護部隊を手配しとくように連絡。念の為に爆弾処理班と『魔法使い』部隊もだ。要救助者は、爆弾処理班と『魔法使い』部隊がチェックするまで救護部隊に指一本触れさせるな、と伝えろ」

『了解』

 無線通話で後方支援チームに連絡。

「マヌケどもは跨いでいけ。絶対に手も足も触れるな」

「了解」

 俺の命令に、3人の部下……前線要員の足立とあずま、小隊付きの「魔法使い」である馬場……が揃って答える。

 2階から3階にかけて2人。

 3階から4階にかけて同じく2人。

 それが、俺達が発見したマヌケな同業者サツカンどもの数だ。

 全員が刑事部の警察官サツカンが強制捜査の際に使う防護服プロテクターを着けて、手足を縛られ、猿ぐつわをされて……床や廊下に緊縛プレイ&放置プレイだ。

「残留霊力が有ります。何かの『魔法』を使われたものと推定します」

 馬場が、そう言った。

「予算や人員が足りないのは判るが……防御魔法をかけた防護服プロテクターが支給されるのは……一部の部隊だけってのも考えものだな……」

 たしかに、俺は刑事部の連中を見下してるかも知れん。

 しかし……同時に連中にも同情すべき点が有るのを認めるのもやぶさかでは無い。

「全くです」

 幸いにも……俺達に支給されている防護服プロテクターは……防御魔法ありで、防弾・防刃性能も刑事部に支給されてる奴より遥かに上だが……。

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