第5話 リルアとピコット 

(あ! それ! 資料で見たのとおんなじだ! くれっそれ、わっちにくれっ頼むー)


「え、マジかよ、何かと思えば殺虫剤かよ……。そんな神頼みされるほどのものか? 別にやってもいいけど……これ、リルアにはデカすぎねぇ? それに、その宇宙船にも入んないじゃん」


(へへー大丈夫っ)


※カチカチというダイヤルを回す音


 イタズラな笑みを浮かべながら、リルアはさっきのピストルのダイヤルをカチカチと回し、自分のコメカミにあてた。


 そしてぎゅっと目をつぶって


(えいっ)



 ボンッッッ————!!!!

↑破裂するような音(本格的な爆発音よりは、コミカルでポップな雰囲気の音)



「え!?」


 いきなりリルアが大きくなった。



「えへへぇーっすごいだろ!? これはピコットと言って、物の大きさを自由に変えられるんだっ」

↑ここからリルアは普通の女の子の声になる



 ちゃぶ台にぺたんと座ったままイタズラっぽく笑うリルアは、さっきまでのピカピカしたメタリックな見た目ではなくて、頭の中で響く変な声でもなく、


「ついでに、地球人ぽい見た目にしてみたぞっ。ど? 可愛い?」

↑茶目っ気のある言い方


 少し色白の肌をした、瞳がクリクリとした可愛らしい顔立ち、そして直接俺の耳に届く可愛い声で、俺に向かって身を乗り出しへらっと笑った。



 ヤバイ、リルアのやつ、大きくなったらめちゃくちゃ俺のタイプだ。

↑エフェクトかけて強調



 「おい? 聞いてるのか? なぁ、クウガってばっ」


 相変わらずちゃぶ台の上にぺたんと座っている大きくなったリルアは、ちゃぶ台の前にあぐらをかいてる俺の方へと身を乗り出し、少しムッとした表情を浮かべながら俺の顔を覗き込んだ。


 ちょっと待て、反則じゃないのか?


 突然目の前にタイプの女の子が現れて、いきなりの至近距離。……ど、どーしたらいいんだ。 


 俺は戸惑いつつも、リルアから目を逸らして答える。


「聞いてる。聞いてるってば! あ、あのさ、そのピストルがすげーのはわかった。わかった、けど。“それ” を小さくすればいいわけで、リルアが大きくなる必要はなくね?」


 するとリルアも少し目を逸らしてから、


「んー、だって」


 少し間を置いてから、今度は俺の目を伺うようにまっすぐに見つめ、右手で俺の頬に触れてきた。


 ※頬に触れる音


「……クウガに……触れてみたくなったんだもん」

↑ゆっくり真剣な雰囲気


 さっきまでの強気な口調とは違う、弱気な言い方。

 俺の頬に伝わるリルアの、少し冷たい小さな手の感触。


 次第にどんどんと赤くほてり出す俺の顔。リルアはさらに言葉を続ける。


※心臓の音小さめで入れる


「なぁ? チキュージンて面白いな。 触れると赤くなるのか?」


「うっ、うるさいなっ」


※心臓の音さっきより少し音量上げて入れる


 ヤバイ、心臓が……さらに煩くなって来た。

 情けなくもこの状況から、動けねぇ……


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