名の無きケントゥリオンの物語
曽我二十六
名の無きケントゥリオンの物語 (本編)
1123年の事である。時の
前任の百人隊長が
男が就任して3日目、早速大事件が発生した。今度は
暗殺された旗持ちの職には、高潔さが求められる。換言すると、部隊の全資産を管理する職であるのだ。しかし殺された旗持ちには、高潔さが無いと言われていた。その旗持ちを任命したのは、他でもない
どこからともなく、不穏なる噂が広がった。
「
軍旗の私物化は大罪で、死刑に値する。これは
「
その真偽に関わらず、
勿論、誓って無実である。とはいえ男には、心当たりというものが無い訳ではなかった。男は現地での食糧調達に際し、軍旗を使った。これ自体は問題のない事である。しかしその過程が問題であった。当時食糧難にあった部隊には手続きが間に合わない、そう考えた男は独断で決定を下したのである。
疑わしきは罰せず、被告人の利益に。とは言うが、そんなものは裁判での話。殺人現場で赤色に染まった上衣を着ている人間が居て、本当はそれが偶然の赤ペンキだったとしても、彼を無実と扱えるかという話である。
事実関係は有耶無耶のまま、部隊は東へ進み続けた。東にはパーシデの国が存在する。「
新しい
行軍7日目。アルメニアも近くなった所で、隊は
「
これは事実であった。殺される直前に旗持ちが呼び出されていた事や、刺された
男は決断を迫られた。副隊長は部隊に最も長く居る古参兵である。彼を処刑する事に、男には少し
男は曲がりなりにも
先程アルメニアに近いと言ったが、ここは辺境である。いつパーシデ人が襲ってきてもおかしくない。その緊張感の中での野営である。増してや、
野営地はパーシデ人に包囲されていた。逃げ場所を失った部隊は、トイトブルク森でウァルス将軍が3個軍団を消滅させたように、殲滅された。唯一、男はウァルスと違って生き残ったが、その他は全く同じであり、凄惨を極めた。
逃げおおせた男は、三日三晩、森を彷徨った。男は
男は夢を見た。
男は意識を取り戻した。見るとそこは牢獄の中。アルメニア兵に捕まっていたのだ。当時のアルメニアは、パーシデとロームンの係争地にあり、侵略を受ける度に宗主国を変えてきた歴史がある。ついこの前まで、パーシデに占領されていたのだが、今は独立国となっている。
「お前には何ができる?」
男にそう問いかけたのは、パパス王というアルメニアの王であった。男は
「見よ、これは
パパス王は男を気に入り、捕虜としてではなく、元のように
本陣は快諾し、東方遠征軍には
男は、
解説は明日投げます、完結済です。
ちなみにこれはフィクションです。
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