第3話「新斗の試練」

この日、新斗は久しぶりの休暇を楽しんでいた。

高校時代の親友晴人と待ち合わせをする。

「ごめん、ごめん、お待たせ!」

晴人が駆け寄って来た。

「遅せぇぞ晴人」

「いや〜ごめんごめん。寝坊しちゃってさ」

「お前は本当変わんないよなぁ、よし!んじゃあ行くか!」

「おう!」

新斗と晴人は2人で映画を見に行く。


上映後ーー

「いや〜面白かったな〜」

「ああ、意外な奴が黒幕で度肝抜かれたわ!これは予想出来なかった」

そんな風に映画の感想を言い合う2人。

「これからどうする?」

新斗が晴人に尋ねると……。

「お茶でも行かね?」

「ああ、良いけど」

「是非お前を連れて行きたい店があるんだ」

「ん?」


そして2人が向かったのは……。

メイドカフェだった。

「お帰りなさいませご主人様!」

「メグちゃんただいま〜!!」

「!?」

新斗は呆気に取られていた。

「お前……メイドカフェとか来てたの?」

「ああ、一回来てみたらハマっちゃってさ。結構楽しいんだぜ?」

「へ、へ〜……」

メイドのメグちゃんに席に案内される晴人と新斗。

「それではこちらのお席へどうぞ」

「ど、ども……」

新斗は初めてのメイドカフェに緊張している模様。

「え〜それでは御新規のご主人様にシステムのご案内をさせて頂きます」

「御新規のご主人様って何だ……」

新斗は失笑。

メグちゃんからお店のシステムの説明を受ける新斗。

「それではご説明は以上となります。何か分からない事はございますか?」

「あっ、いや、大丈夫です……」

「それではまずお飲みをお持ちしますね!何をお飲みになりますか?」

そう言われ新斗はメニューに目を通す。

「高っ!?」

普通の店より少し高めの値段設定にビックリ。

「新斗、落ち着けって」

「じゃ、じゃあコーラ……」

「はい!コーラでございますね!」

「あっ!メグちゃん俺も!」

「かしこまりました。それではコーラをお2つですね!」

「俺はあとオムライス。新斗は何か食べる?」

「へ?あっ、そーだな……腹減ったし……俺もオムライスで良いや」

「かしこまりました。それではオムライスもお2つですね!すぐお持ちしま〜す」

そう言ってメグちゃんは去って行く。

「どーよメイドカフェ。お前初めてだろ?」

「ああ……なんか異世界感半端ない……」

そして、新斗に試練の時が……。


「お待たせ致しました。コーラとオムライスがそれぞれお2つずつでございます」

「おっ!来た来た!」

新斗はスプーンを持って早速食べようとする。

「ストップ!まだダメだよ新斗!!」

「へ?」

「おまじない掛けなきゃ」

「はぁ?」

「そうなんです。こちらのオムライスと〜っても美味しいのですが、魔法のおまじないをする事でも〜っと美味しくなるんですよ!」

「は、はぁ……」

「それでは両手でハートを作って頂きまして。私が美味しくな〜れと言ったらご主人様も美味しくな〜れと仰って下さい。続けて萌え萌えキュンと私が言ったらご主人様も萌え萌えキュン!でお願いします」

「え〜!?」

新斗、試練の時だ。

「それでは参りましょ〜!美味しくな〜れ」

「美味しくな〜れ」

「萌え萌えキュン!」

「萌え萌えキュン!」

「はい!これでも〜と美味しくなりました!どうぞ召し上がれ〜」

新斗はまた失笑。

試練をなんとか乗り越えオムライスを食べ始める新斗。

「うん、美味い!」

「だろ?やっぱおまじないの力は凄いな〜」

「いやいやいや……でもマジで美味いよ!」

そこへ新斗のスマホに電話が掛かって来る。

矢木博士からだ。

「ん?はい!」

「鷹井君!ゲルドーだ!」

「え?」

「ん?何か周りが騒がしいな」

「え?あっ、ちょっと待って下さい」

新斗は慌てて店の外に出る。

「すみません、もう大丈夫です」

「そ、そうか……どこに居たんだ?」

「いや、その……ちょっと……」

「まぁいいや。それよりゲルドーが現れ街で暴れてるんだ!ジェットホーク出動だ!」

「了解!!」


晴人のスマホにLINEを入れる新斗。

「ん?」

内容にはちょっと抜けるとだけ書いてあった。

「ちょっ……支払いどうすんだよ……」


新斗は矢木博士の研究所に向う。

「博士!!」

「来たか!直ぐに準備をしてくれ!」

「了解!!」

新斗はジェットホークを『装着』

「よし、ジェットホーク出動だ!」

「行くぜ!!」

ジェットホークが基地を飛び出し現場に向う。

現場の街で暴れていたのはシマウマの頭を持ち、ランチャー砲を備えた怪人、ゼブランチャー。

「ハハハッ!!爆撃上等!この街を破壊し尽くしてやるぜ!!」

「させるか!!」

ジェットホークが空からゼブランチャーに飛び掛かる。

「ぐわっ!?」

「へっ、今日は馬面野郎か!速攻でぶっ飛ばしてやるぜ!!」

ジェットホークは翼の頭にパーツを収納し、接近戦で挑む。

しかし、ゼブランチャーの俊敏な動きに翻弄される。

「あっクソッ!ウロチョロするな!!」

「ハハハッ!これでも喰らえ!!」

ゼブランチャーがランチャー砲をジェットホークに向かって撃つ。

「うわっ!?」

ランチャー砲から放たれたミサイルを喰らい爆発に巻き込まれるジェットホーク。

「ぐあっ!?クソッ……」

「フンッ!更にもう一発喰らえ!!」

ゼブランチャーは再び構える。

「くっ……」

ジェットホークは咄嗟に右腕のレーザー銃でゼブランチャーの砲口を攻撃。

「ぐわっ!?」

砲口が攻撃された事でゼブランチャーはランチャーを撃てなくなる。

「しまった!?チッ……ひとまず撤退だ!」

ゼブランチャーは姿を消す。

「ふぅ〜……危ねぇ……」


新斗は研究所に戻る。

すると研究所には岩城隊長も来ていた。

「ただいま戻りました」

「あっ、鷹井。戻ったか」

「隊長も来られてたんですね」

「ああ……所でお前……口にケチャップ付いてるぞ」

「え?」

岩城にそう言われ口を拭ってみる。

「あっ……」

「ハハハッ、オムライスでも食べてる時に呼び出されたか?悪かったな休暇中に」

「あっ、いえ……」

「今日はもう大丈夫だろう。帰って良いぞ」

「はい、では失礼します」

そう言って新斗は帰って行く。

「はぁ……しかし、毎回鷹井君に研究所まで来て貰っていては時間が掛かってしまうな……」

「そうですね……その間に被害も大きくなってしまいますし……早く例の装着を完成させなければ……」


そして新斗は晴人の待つメイドカフェに戻って来た。

店の前で晴人が待っていた。

「わりぃわりぃ……」

「ったく……どこ行ってたんだ?」

「悪い……ちょっと仕事でな……」

「そっか……自衛隊ってのも大変だな休みの日にまで呼び出されて」

「ああ……まぁな……あっ、メイドカフェは?」

「チャージ料が掛かっちまうから会計して出て来たんだ」

「そ……そうか……」

「オムライスとコーラ、そしてチャージ料で3500円な」

「え?ああ……悪いな……払っといてくれたのか……」

「おう。なぁ新斗……」

「ん?」

「お前、メイドカフェあんまり楽しめて無かったろ?」

「え?ああ……まぁ正直……ああいう場所行かないから……」

「なら今度また来ようぜ」

「え?マジ……?」

「おう、お前の奢りでな」

「はぁ!?何でだよ!?」

「俺がメイドカフェの楽しみ方を伝授してやるからさ!受講料って事で」

「あのな……」


その頃、ゲルドーのアジトでは……。

Dr.ドルネスがゼブランチャーの修復作業を行っていた。

「クソッ……おのれジェットホークめ……毎度毎度邪魔ばかりしおって……だが次はそうは行かん……」


翌日、普段通り出勤した新斗。

「はぁ〜……」

「おい鷹井。どうした?ため息なんかついて」

先輩隊員の鈴木が尋ねて来た。

「いや〜……昨日友達に連れられてメイドカフェに初めて行ってきたんですけど……」

「何!?メイドカフェ!?お前そんなとこ行くのか」

「だから友達に誘われたんですよ……」

「へぇ〜それでそれで?」

「いや〜なんか……おまじない?みたいなのやらされてなんか小っ恥ずかしくて……」

「あ〜!萌え萌えキュン!ってやつか!」

「そうなんですよ……なんか妙に緊張して全然楽しむ余裕なかったっす……」

「ハハハッ、まぁ俺らとは住む世界が違うわな。まぁでも社会勉強だと思って行ってみるのもいいんじゃね?全く違う世界ってのも案外慣れると良いもんだぞ」

「はぁ……」


そしてその頃、ゲルドーのアジトでは修復を終えたゼブランチャーが出撃しようとしていた。

「よし、ようやく修復完了だ。さぁ行け!ゼブランチャー!東京を火の海にしてやれ!!」

Dr.ドルネスがゼブランチャーの指示を出す。

「はっ!」

ゼブランチャーが出撃する。


続く……。

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