ジェットホーク

山ピー

空の英雄

第1話「ジェットホーク誕生」

この日、航空自衛隊の新人隊員として入隊した青年、鷹井 新斗(たかい あらと)(20歳)はチームのメンバーに挨拶をしていた。

「初めまして!本日付けで入隊する事になりました鷹井新斗です!宜しくお願いします!」

先輩達の前で自己紹介をし敬礼する新斗。

先輩達は拍手で迎え入れてくれる。

「よし、改めて……俺がここの隊長の岩城だ。宜しくな」

チームの隊長の岩城が新斗を迎える。

「はっ!宜しくお願いします!!」

「よしじゃあ、自己紹介も済んだ所で抱負の1つでも言ってみるか」

「抱負……ですか……え〜っとじゃあ……自分は将来ブルーインパルスの隊員になるのが夢であります!その夢を叶えるべく日々鍛錬し、先輩方に追いつけるように頑張ります!」

先輩達はまた拍手をした。

「よし、じゃあ……柊、お前が鷹井の教育係だ。色々教えてやってくれ」

そう言われ、チームの女性隊員、柊 葵(ひいらぎ あおい)が前に出て来た。

「了解しました!柊よ、宜しくね」

「はい!こちらこそ宜しくお願いします!」


早速柊は新斗の戦闘機の操縦技術を見る為に戦闘機に乗り込む。

「基本的な技術は航空学校で習ってるでしょうから、しばらくは肩慣らし程度に飛んでていいわよ。何かあったら指示する」

「はい!」

新斗は少々緊張しながらも戦闘機の操縦桿を握り戦闘機を離陸させる。


飛行中も柊の指示通りに操縦する。

「基本的な操縦は問題ないわね、でも少々操縦の荒さが目立つわ。緊急時以外は普通に飛びなさい」

「はい……」

「よし、今日はこの位にして基地に戻りましょう」

「了解!」


その頃、世界征服を企む秘密基地ゲルドーが動き出していた。

組織の幹部Dr.ドルネスが多くの構成員達の前に現れる。

「諸君、遂に私の長年の研究が完成した!これを期に我らゲルドーは世界中にその存在を知らしめ全世界を支配するのだ!!」

この宣言に歓声を上げる構成員達……。


基地に戻った新斗は……。

「って、何でいきなり掃除なんですか……」

「新人は必ず通る道よ。これから毎日基地内を清掃し清潔に保つ事。それから……先輩達への挨拶は決して忘れない事」

「はぁ、了解しました……」

新斗はモップで床を磨き始める。

「あっ、そうそう。毎週火曜日と木曜日はゴミ出しの日だから朝の8時までにゴミ置き場まで持って行く事。これも新人の仕事だからね」

「はぁ……」

そう言い残し葵は去って行く。


新斗が掃除を続けていると何やら隊員達が集まって何かを見ていた。

「?あの……何かあったんですか?」

「ん?ああ、鷹井か。ウチの基地の今度のブルーインパルスの航空ショーのメンバーが決まったんだよ」

「え?ブルーインパルスですか!」

そして新斗が見て見ると……。

「あっ!木戸先輩!」

「何だ?木戸を知ってるのか?」

「はい、航空学校でとても良くして頂いてお世話になった先輩です」

「そうか、お前は木戸と被ってたか。アイツは面倒見がいいからな」

「木戸先輩ブルーインパルスに入れたんですね」

「ああ、今年初の様だな」


その夜、宿舎に戻った新斗は木戸に連絡。

「あっ、木戸先輩お疲れ様です。ブルーインパルスの入隊おめでとうございます!」

「ああ、ポスター見たのか」

「はい!俺、絶対見に行きます!」

「おう、俺にとっても初めての航空ショーだ。すげぇの見せてやるから楽しみにしてろよ!」

「はい!」


それから数日後、航空ショー当日。

会場には多くの航空ショーファンが集まっていた。

「うわぁ、今回も凄い人だな」

新斗も見学の為に会場にやって来た。

「鷹井、こっちだ!」

声のした方に向くとそこには岩城隊長がいた。

「あれ?岩城隊長……どうして?」

「ん?いや、実はな。今回の航空ショー俺の同期がブルーインパルスの隊長なんだよ。それで見に来た」

「そうだったんですか。俺も先輩がチームのメンバーで」

「ああ、そうらしいな。こっち来い」

「え?」

「俺達関係者は特別な席で見学出来るんだよ」

「あっ、そうなんですか」

「ああ、一般の観客より間近で見れるぞー」

新斗は隊長に付いて行く。

「お前……将来ブルーインパルスに入りたいなら後で俺の同期に紹介してやるよ。色々聞けるだろう」

「本当ですか!?ありがとうございます!!」


そして遂に航空ショーがスタートした。

ブルーインパルスの華麗なアクロバット飛行に会場は大盛り上がり。

「おおー!!」

新斗も大盛り上がり。


華麗な技を次々に決めるブルーインパルス。

会場の盛り上がりが最高潮に達した所で。

突如ブルーインパルスの機体が爆発。

会場に物凄い爆音が響き渡った。

「え?」

しかもそれは一機だけでは無かった。

次々にブルーインパルスの機体は空中で爆発を起こして行く。

「そんな……」

「大変だ……直ぐに消火とレスキューの用意を!」

岩城隊長が周りの自衛隊員達に指示を出す。

会場は大パニック。

「ハハハハハッ!見たか!これが我々ゲルドーの力だ!」

そこに現れたのは謎の怪人。

「うわっ!?化け物だー!?」

会場は更に大パニック。

現れたのはダンゴムシと爆弾を合成させた合成怪人バクダンゴムシだった。

「何だあの化け物……」

バクダンゴムシは警備をしていた自衛隊員達にも襲い掛かる。

「木戸先輩……木戸先輩は!?」

「鷹井、こっちに来い!」

岩城隊長は新斗を連れてその場を離れる。

バクダンゴムシは爆弾を投げ会場で爆発させる。

会場は破壊され、自衛隊員は観客達に多数の死傷者が出る。

「木戸先輩……木戸先輩……」

「鷹井、今、お前にはすべき事がある。乗れ!」

岩城隊長は新斗を車に乗せる。

「とにかく動くぞ」

岩城隊長は車を走らせる。


会場はバクダンゴムシの爆弾で次々に破壊されて行く。


岩城隊長はしばらく車を走らせるとある場所に到着した。

「降りろ」

「……ここは?」

新斗が車を降りるとそこには古い家が建っていた。

岩城隊長はその家のチャイムを鳴らす。

「はい?」

「岩城です」

「待ってくれ、今開ける」

そして中から出て来たのは白衣を来た中年の男性。

科学者の矢木 常夫(やぎ つねお)(57才)

「矢木博士、大変な事が起こりました」

「その様だな……まぁ、入れ」

矢木博士は岩城隊長と新斗を中に入れる。

「矢木博士、これはやはり……」

「まぁ、奴らの仕業と見て間違いないだろうな」

「では……」

「ああ、遂にジェットホークの出番が来た」

「ジェット……ホーク?」

「ああ、鷹井、お前が扱うんだ」

「え?」

「私は奴ら……ゲルドーの存在に気付き密かに奴らに対抗する手段を開発していた。その開発に協力してくれたのが岩城隊長だった。ジェットホークは岩城隊長の力を借りながらようやく完成した対ゲルドー用の戦闘兵器だ」

「そんな物が……」

「だが、ジェットホークを扱うには体力がいる。そこで岩城隊長に体力のある若者を自衛隊員の中から探して貰ってたんだが……」

「今日ゲルドーが起こした事件の現場に居たお前に白羽の矢を立てたと言う訳だ」

「つまり……俺にそのジェットホークって奴を使ってアイツらと戦えと?」

「そうだ」

「いや、無理無理無理無理!?……隊長それは無理ですって!?」

「お前しか居ないんだ。それに……木戸の仇取りたくないか?」

「それは……そうですけど……」

新斗はラバー製のツナギに着替えさせられた。

「何で俺が……」

「そこに立ってくれ」

「はい」

矢木博士の指示通りに立つ新斗。

「よし、行くぞ。ジェットホークシステム起動!スーツ装着開始!」


矢木博士の声に反応し、研究室内のAIがジェットホークシステムを起動させる。

次々にパーツが装着されて行く新斗。

全身にアーマーパーツが装着され、最後に背中にウィングパーツを装着した新斗はジェットホークとなった。

「よし、装着完了。オートフィット機能発動」

パーツが自動調整され、新斗の体にフィット。

「おおー!スゲェ……まるでSF映画みたいだ」

「ジェットホークには飛行能力が備わっている。後は君の感覚に任せるぞ」

「え?」

ジェットホークが研究室の地下に下ろされる。

「え?何?何?」

そして、そのまま射出口に移動。

ジェットホークのウィングパーツのエンジンが起動し、噴射。

「なんか……嫌な予感……」

「ジェットホーク出動!!」

矢木博士の指示でジェットホークは射出口から空へ打ち上げられる。

「うわーっ!?」

「鷹井、自分の操縦感覚を信じてジェットホークを操れ!」

「んなこと言われても!?」

そうこうしている間にジェットホークの目の前にジャンボジェットが迫ってくる。

「うわぁぁぁっ!?」

新斗は咄嗟にジェットホークを操縦しジャンボジェットを避ける。

「あぶねー……そうか、俺自身が飛んでる分小回りは利くし俺の思い通りに動かせる訳か……だったら!!」

ジェットホークはそのまま航空ショーの会場に戻る。

会場はバクダンゴムシによってすっかり破壊され僅かに生き残った自衛隊員が必死に抵抗していた。

「後はお前だけだな……死ねぇ!!」

「う……うわぁぁぁぁっ!?」 

だがそこにジェットホークが降り立つ。


「な、何だお前は!?」

「え?俺?え〜っと……ジェットホークつったかな」

ここに新たなヒーロージェットホークが誕生した。


続く……。

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